この生は一度切りだと言い聞かせ生き切ってやる そしてくたばる
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若者の自死のニュースは胸痛む「生きづらい世」と突き付けられて
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木は木とて 花は花とて 生きる道 人はいかよう 生くるべきかは
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やはらかに病窓に射す緑葉を開かぬまぶたは照りかへしたり
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坂本の 音楽に出会い 救われる 父の思いと 伝える願い
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君の眼に宿る光を知ったのも初めて声を聞いたのも夏
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退に望む丹澤たんざはの 渡りしあをのうすく濃き 夏霞なつがすみたつ
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わが身よりあくがれ出でしたまならば夢路に通へ軒の蛍火
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わたくしは虚無のチョコレートコーティング中身がある様に見えていた今日も
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暑かはし 吳竹くれたけごと夏のは あさき夢見し空白むまで
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ほんとはね 行きたくないの 渋る義母 心を鬼に 今日施設へ
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生きるのが「酸いも甘いも…」ってことなら とっとと死にたい     …なんてね嘘だよ
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今日の夜お蕎麦にしよーと書いてある しちがつじゅうにはお蕎麦記念日
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お菓子作り 現実問題 いつできる? 大量にできる問題も問題
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真夜中に 菓子を焼きたくなるほどに 疲れているね 眠れないしね
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西友であの頃流行ったヒット曲もう苦しみは癒えたと感ず
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西荻のぶっ飛び人間コンテスト今宵の勝者の遺体見つかる
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曇天の空白そらしろすぎて目がくらみ距離感なくした喋るコミュ障 
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世の中に中指立てる若者の自由は永久とわに苔の蒸すまで
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性格の悪さが顔に出てるわねファンデーションじゃ隠せないわね
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朝8時 乗り合わせたバスで見渡すと 高校のスクールバスの様相
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河鹿蛙かじか鳴き ひぐらし歌う山奥の 温泉に来て魂洗う
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ポンっと音立てて咲く睡蓮よ うたた寝の神を 起こしてくれよ
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土砂降りの中で佇む一輪の 向日葵はただ晴れを待ち望む
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サヨウナラ どれほど聞いて 見送っても 別れに慣れず 一人佇む
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行く春を 見送る私に 容赦なく 日は照り夏を 思い出させる
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いまひとりとんちんかんで慰めのひとつも無いし氷をいじめる
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保育士はリアル家庭の内情も読めるからこそ子供は尊い
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うずたかく 積ん読の塔 そびえ立つ あの日の情熱帰ってこい
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野糞する若き女の草原にひっそり佇む観音堂
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