先輩の 綴り見て感ず 誇らしさ 先を危ぶみ 我祈るらん
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快復し 電話魔戻り 高らかに 伝える友に 苦笑い
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太ってる女性が僕は好きなんだお願いだから一緒に相撲
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この犬は女と云ふに片足を上げ電柱にマーキングする
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飼ひ犬の見てゐる方に目をやれば網戸の裏に蟬とまりをり
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カワセミが水面に飛び込み一瞬で水が飛び散る枝に戻るのも早い
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公園の海に面したベンチ 夕日が沈む頃に波の音が強まる
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平安の世にもいただろう受けとめる人のいない歌つぶやく男
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数えきれぬ言葉交わしても君はいない触れるものだけ大事にするよ
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引き止める腕また腕でうんざりだどこからともなく腕がたくさん
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もし君がこの世にいると知ってたらもっとまじめに生きてきたのに
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嘘をつくこともなかったまだ君を知らないままの世界線では
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いつか見た悪夢の中のあの人の外反母趾の親指の爪
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熱帯夜 今夜死んでもいいような気持ちで一人膝を抱える
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顔も背も 似てない姉妹 ダメンズを 引き寄せる血は 通っているわ
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心にはかっこつけないでといつも どうしてだろうかっこつけちゃう
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誰よりも 近しい貴女は 道標 貴女がいたから 迷わず生きれた
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あの人にいわれたあんなことなんて あなたのことばに上書きされる
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八つ当たり 出来ないことに 苛立って 細かい傷を 刻みつける
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熱帯夜がまとわりついて繭のよう重たい羽を折りたたんでいる
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ひとりきり隙間からわく虚無の群れ 目をつむっても深い暗闇
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常温のハーブティー飲み やな感じ 喉がピリリと 風邪かアイツか
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詠うのは 吾子のことでは ないなぜか 少女にもどり 言葉をつむぐ
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いちばんに好きな宝石誕生石 簡単すぎる出会いにおじぎ
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太陽の石というには優しくて愛というには不確かな色
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きみの手が 繋ぎとめてる 歩く道 ぬくもりありて 心が残る
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きみという 言葉を何回 使っても きみはわたしに 歌を詠めない
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目に見えないものが分かると強いねえ電気の図鑑を寝る前に読む
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えげつねえ事件が立て続けに起きる令和は平和を模した年号
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峠越え 吾の靴ひも 気にかけて 固く結んだ 君の手優し
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