細胞の内まで君の声が沁む僕の鼓動はレンジの卵
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チカチカともう切れそうな電球よ僕のやる気と我慢比べか
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あからひく日を照りかへし女学生が髪やはらかにくだる坂はも
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夜明け前 音の無き闇 ざわざわと 寄せ来る波を眼を開けて耐ふ
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欠け落ちる言葉のニュアンス感情も余さず包んで届きますよう
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幼な子が愛しき日々の吾子映す 走馬灯のごと立ちては消えて
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天地を繋ぐかそけき遠雷よ、ちょっと待ってよ置いてかないで
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火の先に君が待とうと竦む指、資格で言えば恋ではあるまい
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思い立つヒラヒラ人参スープの具ひとかきひとかき地味にしんどい
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巣立つ日に残されたのはスニーカーこれは錨と動かせぬまま
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気嵐けあらしの 白きゆらぎに 目をめる 心残りに… ため息一つ
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誰でもない己で己を励ましてうたを知つてるお前は強い
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抗える訳もないから流れゆく時の流れの最後尾にて
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ぬくもりがほんの一瞬広がつた時代おくれの缶コーヒーで
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冷や水をぶつかけられた朝刊のときどき頼む会社倒産
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魂の 重さでおちる 地球まで 青い空から ふわふわ淡雪
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スマホ用タッチペンを持ちながら指で画面をタッチしている
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住宅街 愛が欲しくて眺めてたカーテン越しのツリーの灯り
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婆さんに教えてもらい話し聞く 雨の日の午後コインランドリー
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禁断の実をほおばって下界にて暴るる熊の行く先はどこ
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コート着て手袋はめてマフラして ふと横見れば半袖の人(不思議としか)
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隣席の営業の声淀みなく お子様の為 くり返しをり
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山あいの我が家をかすめ流れたり 流星群は宇宙旅して
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毎日を「最後の日」とし始めたり 朝の覚悟と穏やかな夜
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月も見た 冴え冴えとあかるき半月で あの月もきっと 見守ってくれる>タヌ猫の血液検査、かなうなら、なんともありませんように‥
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ラベンダー香るお茶にて こころをば 落ち着けてみる ちょっと深呼吸
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決めつけているよで なんだか鬱だから「長い長いさんぽ」(著者・須藤真澄さん)カートには入れない
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おとなしい 長女猫あのこは今は守り神 体重激減のタヌ猫 護ってね
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この動物病院びょういん 来ると記憶が蘇る 長女猫あのこの最期(最期の最期は)それはひっそりと>十二年前の記憶
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「元気?」とは 獣医さんせんせい それは我のこと? タヌのことかしら どっちとも取れた
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