栗名月 かたちふっくら 朧月 お供え物は 栗どらでいかが
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青白い月がそんなにこわいならジャングルジムへ逃げ込みなさい
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来年の手帖をひらいてみたところ どんな未来を描こうかしら
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故郷の、君無きさとに蝶は飛ぶ 荒れた庭にも、咲いている花。
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ごきぶりも冬虫夏草になるだろか 独身息子の水屋で発見
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作者など実はなくって人生は知らぬまに成る不思議シナリオ
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ガザの地に復活遂げしヒューラーは石の刺さつた両腕笑ふ
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秋の暮れ孤独のトンボが手の甲に止まり祖父かと思ってみたり
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畦道に坐る野良猫夕焼けに染まる穂波に身体を揺らす
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倦怠アンニュイはSNSに捧げられ いまぞ嫉妬の華ひらく見ゆ
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家庭。家庭。その名憎しと研ぎし刃の刃先を向けるところなかりき
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秋刀魚高魚は値段が変わるなあステルス値上げできないだけか
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流れ往く雲を歌へば日々日々のつまらぬ心も流れ往くかな
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例えばの話と切り出す君からの聞きたくなかった方の将来
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「IQは20ちがうと意思疎通できないってさ。」 ニワトリうなずく
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沈殿を繰り返していく週末に終止符を打つ冷めないコーヒー
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こんなにも狭くて大きな夜が来て月が一人でほんとに良かった
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とり入れををへし田畑に雀らのさわぐを聞けば秋更けにけり
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人気無き キャンプ場のバンガロー 一人寝て聞く 鹿の鳴き声
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夜勤ゆえ 早朝に家に帰り来て カンチューハイか まず朝風呂か
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ススキの穂 CDカメラで接写して 拡大すれば目にも鮮やか
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無印の無添加ローション気になって買い置きミノンどうしようかと  
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校舎裏 匂ひさぐりて寄りくれば虫食ひの葉の金木犀あり
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長期戦覚悟の上と思いつつさっさとケリをつけたい本音
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実家帰省 母が繰り出す 決め技は 愛のこもった 逆・兵糧攻め
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外の土 純白の毛を黒ずます 触れてみればぬくもり変らず (神社の白猫)
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あな臭し!オーデコロンをまとひたる女の軌跡に鼻をつまめり
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ネアカゆえ基本めげないへこたれない 今を生き前向くが信条
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あの夏の暑さによくぞ耐えたねと日本中みな褒めてあげたい
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生きてみたいあなたと私だけの世界少しはレッチリわかってきたよ
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