十三夜ゆきの片道切符切り列車はいつかのよるのむこうへ
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さよならが言えないままに情ばかりふり積もっては動けなくなる
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炭酸の抜けたジュースを飲み干した  輪郭のある終わりが欲しい
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我がこころ、此の頃なりて虫喰ひの跡は無きやと胸を探りぬ
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やっと秋 出番待ってた布団干し とろけて眠る 月夜の至福
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公約を読んでてだんだん眠くなる寝言を読んでて眠くなってく
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毎日が 忙しく過ぎるせわ   す     今の時期 余裕も少し 持てたら良いな
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恋人と 楽しく電話 した今夜 そろそろ熱い ココアいいかも
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いつか死ぬような運転するひとへ土地勘だけのナビをしている
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新品の石の御鉢クロックヒンで擦り潰す 青唐 青柚 水炊き喰いたい
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「もう二度とかかわらないで。」好きだった貴方の声がまだ離れない
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DEKAPAIもデカパイも碌に縁が無い どんなスカウト来てるかなと泣く
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器量とか責任とかを交ぜたやつ固めて付ける職場の肩書きアクセ
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還暦を過ぎた母親美魔女とよく噂されますます綺麗
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業務で派手にやらかし号泣上司にただ慰められた
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父息子「これが最後の肩車」誓った翌日うっかり担ぐ
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特別の紹介状は通過中診てもらえるかまだ分からない/9/24
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病人が総合案内取り囲み今か今かと狙つてる番/9/24
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「胃に翳がある」と云われた運転手一期一会の人を案じる/9/24
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病院へ向かう道中身の上を話して聞ひて共有の時/9/24
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妻と子が出発前に起きてきてお見送りとは予定してない/9/24
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まだ来ない五年日記の巻末の個人情報埋める明け方/9/24
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タクシーが来るまで残り一時間告知後四日苦悶の彼岸/9/24
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子どもらに絵手紙遺しまた泣ひて昨日とちがふ明日をおもふ/9/24
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死なせない力よ淡く透き通り虹は要らぬとお前は告げる
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従兄弟きみと会い一区切りつくこの気持ち 秋も本番前に進もう
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この季節金木犀のよき香り 銀杏踏んでうつつに戻る
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年間で夏日以上が半分と この地は既に四季を無くした
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金木犀もくせいが秋の深まり運び来る小さき花が大活躍なり
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月という隣人がおりその人はそっけないけど美しい人
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