末つ子も年下来れば姉になりワラワラ子ども集う日曜
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日の出前 快速電車が通過する 立つ乗客の残像速し
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鴨五羽の黄色のくちばし木の実食む見とれてひとり秋の日だまり
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またいつか。桜の樹の下あの頃の 純粋な僕のタイムカプセル
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冬至来て 幼き頃を 懐かしむ 亡母ははが作りし 甘きカボチャが 
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あかい葉を集めて「モミジ」と言ふ君に 「カエデ」と伝えず大人になった
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酒呑みで咥え煙草の亡き祖父の 薄れる記憶猫を撫でてる
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メールにて岡山マラソンで走ると言ふ長男の名をナビにて追へり
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庭のすみ切り株だけが記憶する 猫と老人、幼子おさなごの夢
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栗の木に繋がれていた祖母の犬 いつもわたしをじっと見ていた
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熱のあるときは二重のまぶたなる子をかなしみて氷をあてつ
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晩秋の雨は染み込み突き刺さり 雪より深く身を凍えさす
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諦観と隣人なのね、それなのに名の花言葉は「慈愛」なのね
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かつて聞く声が頭にこだまして鳴り止むまでの長々し夜だ
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おちてゆくタイトロープを踏み外しサーチライトは何も照らさず
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いびきまで食べたいくらい君が好き。寝てない君には言わないけれど。
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酔ふことは頭の中に灰つもり払へど払へど中身なきぞかし
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負け犬と自身を標榜せし歌に何の得あるや?唯の道化や?
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肝心をらずそののちはまほろばに君を求めむ幽霊とならむ
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「もう、いいよ」かく云ひ云ひて一点の肝心なことは云はぬ歌あり
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夜更け過ぎ 猫の寝息と 雨音が 私を包む BGMに
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「寂しい」を自分で咀嚼して飲んでそれでもこぼれる「寂しい」が涙。
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SNS距離は近づく気がするが 憧れのが遠くなる今
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うつくしくとてもせつない曲だけのプレイリストを夜更けと名づけた
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寒月が 黄色く照らす 君の頬 イチョウの並木 夜道を散歩
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吐く息も 白くて一度 雪見ると いくらなんでも 秋とは言えず
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「ハムスター飼いたいね」ってまず動物病院探す君の真面目さ
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君にでもあえているなら絶望し、私というものを捨てていたのに
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あきらめて人間ヒトの夢を捨てている。でも何故か今夢を追い求めて.....
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学生でいたあの頃と変わりなくメタセコイヤは深く色づき
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