なけなしの イマジナシオン 吹き付けて 肺が覚えた 君の香りだ
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捕食するワニかのように目を出して湯船に浮かぶアヒルを狙う
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唯一のヒントがきみのニオイだと分かった立体迷路 廃墟の
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ひと駅も持つかどうかのおしっこと旅する時速80キロで
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玄関にカン・ビン・ペットと書いてあるみたいな面で部屋は灰色
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フリーハグとはいうもののほんとうはあなたの胸にかえりたいだけ
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はじめてのおつかいをした幼子が座り込むときのように泣きたい
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「あの恋は尊敬の念の勘違い」 そんな言葉で誤魔化している
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「好きです」と放たぬままに終わる恋 地獄でずっと待っているから
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「おまえなどいらない」という大木たいぼくのとなりに植える白いアイリス
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やさしさを装った牙の傷跡をもつわたくしもあなたを牙で
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触れ合えば触れ合っただけ泥濘ぬかるみに足をとられる 人がわからぬ
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返信をくれないきみの友愛をあの日のうたの中で待ってる
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あなたからもらったままでかがやいた死ぬまで生きるためのお守り
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友達と 机並べて 高めあう 夕暮れ時は 遥か未来へ
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もうちょっと落ち着いて行動してくれよ 居候するならカサカサ動くな
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子を育て飛び立つまでのつばくらめ人の親子は寄生し過ぎた
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嘘なんて毎度ついたら価値は無い時として出す役に立つ嘘
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「刑務所か!」叫ぶ爺ちゃん制すため退院できる嘘を吹き込む
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明日から 来月からと 後回し 早いに越した ことないけれど
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とてつもない花瓶の闇がこわいので毎日花を挿すのだと言う
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献杯を終わって ふっと座椅子みる あらいたて・まっとマットで チビ猫しあわせ(すやすや)
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ポロポロと涙が落ちる彼女には 言葉はいらないただ抱きしめる
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冬かとも思う日々から不意の夏「冷やしラーメン」迷わず求む
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お絵描きの 輪に入らぬ子 よく聞けば クレヨンこねる 理由わけあると知る
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陽にあたる君の寝顔を眺めてる 今の時刻は午後6時半
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白樫しらかし高木こうぼくもと慎ましく役割り終える皐月さつきの子たち
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ころすのはいつでもできる 今はまだ子どもの為に責任とらす   
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最悪の事態の朝の街角で「冷やし中華が始まったのか」
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寝入りばな 灯の消えた部屋の色 あつめてパッチワークを作る
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