恨み辛み人を呪って逝くよりも『無』になることが尊いものだ
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君がほら好きだっていう煙草っていうやつ全然吸えるよ不味いけど
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浄土では父や母には会えたのか少し急いで旅立ちし兄
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面会の予定日時に☓を付け「南無阿弥陀仏」の読経を聞く
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白い傘張り付いた花びら見つけ「いつからいたの」愛し美し
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わざ かしこらざり のう こころすごせも ひとおさむる
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道行けばペトリコールが香る夜 梅雨来たりなば夏遠からじと
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苗よりも すくすく育つ 雑草は もう収穫の 時期に突入
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イヤホンで占領された子の耳に「行ってらっしゃい」は届かなくて
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左手に電話を持って謝罪をし右手はペンでお花書く癖
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ちょっとした選択で浮かぶ君の顔 別に合わせたい訳じゃないけど
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両端に 紫陽花の咲く 坂道を 墓前の君に 会いにスキップ
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あるじなき庭に咲きおる紫陽花の凛々しき青に故人偲びて
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命さえあればいいという傲慢でお前を救う夢をみたんだ
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君からの 深夜連絡 打ち合わせ 雨音聴きつつ 決断迷う
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地味ながら 今日一日を 書き出せば 充実と見ゆ 母と子の時
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道標みちしるべ  示され歩く この道で 出逢えた人に 渡す言霊ことだま
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きみため たま一献ひとこん そら つきわざけど 大和やまととよ
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サバンナバナナズでプレーする息子 嬉しくもあり悲しくもある
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「愛してた」最後の言葉が過去形で だから追わなかったの間違えたかな
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買うつもりだったブルゾン知らないふりして買ったナノユニバースで
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輝きを目の前にすれば憧れも早々にして希死念慮が
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鼻歌と野菜切る音なぜ朝は頬杖ついてしまうのだろう
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身罷みまかりしひとも家をもなかりせば 藪枯らし抜く夏または来じ
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「好きです」と 言えぬが故に「好きです」の 重みを受けて 煽る盃
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GPTにもお礼を言う人 この前排水溝に煙草捨てていた
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向かってくる車に何度もお辞儀する男 オレンジの日産ノート
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同じ背のショベルカー前にしてコーポあさひの息を呑む音
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楽譜ないメロディ奏でる雨の曲 空を見上げて奏者を探す
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ビルを出て久しぶりにご飯食べる松屋の外国の人が優しい
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