前触れもなんにもなしにショートヘア あなたの理想とかけ離れても
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台どこに立つ母の姿祖母になるあんなに仲が悪かったのに
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義理の姉の修学旅行のお土産の雲の欠片を夕空に置く
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久しぶり 思い出よりも鮮やかに  なんかかっこよ! 詰め襟男子
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好きなこと 話し始めた その時に 見た事の無い 素敵な笑顔
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全て済み落ち着けばすでに十一時 茫然として空を見つめる
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星砂が 減りゆく海の 青さには 悲鳴に近い 色が混じれる
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水槽、暗闇、心音、換気扇、まだ何かが足りていない。
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ブルースで 踊ろう トランペットなら ミュートされてる 静かにふたり
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ひとりぼっちの魔王を倒すAボタン夜更けの指に絆創膏巻く
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追う恋と 追われる恋の 選択を 君に聞いたら なんて言うかな?
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げんぱつは 最大震度 想定も くりかえす余震 そうていしてるか? /経時劣化
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小ぶりの手 菜箸さえも手に余り バターソテーで指の付け根、ダル
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いつになったら慣れるのかこの暗闇は夢か現か幻か
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野良猫が 時間を刻む 足取りで チクタク歩く チクタク歩く
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終電でホームに降り立つ02れいじにふん 改札まで・・はまだの僕
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のとのひと さんぱくよっか おんせんに それからさきざき ぎょうせいそうだん
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運命の 赤い糸なんてまず無縁 結構! 動脈でこと足ります
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心臓を ほどいて一本の 糸にして マフラー編んで 貴方に巻いて
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珈琲が飲めない私にはカフェモカ後のキスも苦すぎ
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二時間後雨の国へと降り立つ予定キャビンの中は蜜柑の香り
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明るくていつも優しいあなたにもあったのかしらグレーな季節
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同窓会来てる奴よりむしろ来てない奴に会い話したかった
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笑顔がさしんどい時は無理しない 自分の気持ち閉じこめないで
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焼き芋屋の軽トラの中で抱き合って二人はおならを我慢している
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悲しみは地下のパイプで運ばれてみんなの家のお風呂に溶けます
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このトイレにはトイレットペーパーと涙以外は流さぬように
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ショーウィンドウの隅で悲しい目をしてる案山子屋さんの鳥の剥製
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川底に沈む詩人の頭蓋骨 私の魚はそこで待ってる
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みたひとの心の澱のひとつでも掬ってゆけよ低い三日月
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