生殖を拒み進歩や放逸を追いて無音の白日に立つ
4
わびさび 部活のことで喧嘩して明日には肩を組むような
6
悪夢みて 夜中飛び起き ねこ探す ここにいるよ ちゃんといるよ
26
さわさわと静かに降り出す雨の音コジュケイの声蛙の合唱
15
母校から聴こゆリコーダー 目を閉じて 遠きあの日の吾に会いに行く
23
尻尾ふり近づく犬と仲良しに訳は無きかと撫でる道の辺
20
「たらい舟乗ったの?」ときく旗振りや『I❤(ラブ)佐渡』のTシャツの子に
10
踊り串入れて塩振り炭の火で焼く鮎を待ち冷酒注ぎぬ
24
45年前の女将に掛けられた煮え油の痕は消えぬ左手
16
仕込み終え 酢飯を掬い キス握る短歌を綴り君へ差し出す
21
日を追って募る想いは胸に秘め ポーカーフェイスの業務連絡
9
睡魔には勝てず仕事を休む旨伝える声の欠伸止まらず(ズル休み)
7
泥濘のあたたかな腕にしがみつく 王道なんて薄寒いもの
5
大学に受かれど既に白髪のクラスメイトを博士と呼びぬ
16
何にでも興味を抱き学ぶのが身に付き時がゆっくり進む
23
里芋(いも)の葉を打つ雨音はぱらぱらと降ってもやまぬ秋虫の声
22
糠床に胡瓜を漬けて待つ幸が近くて遠きバブルの昭和
18
草食や醤油と呼んだあの風貌(かお)も歳を重ねて太鼓腹かな
10
公園へ行けない君は花粉症 我が家で作るおむすびを食む
16
ロングシート 向かいあの子のスマホの裏 ボンボンシール 夏宵の海
3
梅の香の 匂ひ立つ道 つらぬけば 乙女椿 心に咲きけり
4
尊敬が一瞬にして軽蔑になる瞬間を読んでいる朝
19
照明に映ゆる金髪いと妙(たえ)に 毛先に輝く一粒の汗
4
あれもこれも会計済み ああ三十一音に頭悩ませて人生無駄ばかり
8
達磨山朝霧晴れてくっきりと鏡を覗き洗い直せり
14
秋風に散るや 百日紅の花吹雪 コキアに花をお裾分け
22
電車内 女子高生が増えてきて 九月なんだと今さら気付く
17
君が前にいてくれたから 世界はコペルくんの転換 おかげで進む次の道 君とはもう会えない世界  
2
四季通し かばん居座る 日傘かな 太陽はじき 雨粒落とす
6
あと何日共にいられるかわからぬ髪を持ち上げて鍋に湯を沸かして朝を待つ
5