サバンナの母乳の成分表観れば果てなき夜泣き越えてみせよう
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生活の全ては人に教わった掴めるようにくだものを切る
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この部屋は蛸壺よりも広々で玉蜀黍とうもろこしの抜けた穴ほど
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目覚め良し小窓の外より聞こへくる鳥の声にて起こさるる朝
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菜園の 丸々太った新玉の シャリシャリ食感小気味よし 
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少しだけと思っていたのにいつのまにかずっとあなたを想い続ける夜
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今日が終わることに安堵して息を吐くなんでもない日のなんでもない夜
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この日々があと数十年続くならここらであたし辞めちゃおうかな
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透明な水も乾けば垢の出るように不純だ愛も正義も
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こころの皺のひとつひとつに宿してる いつかのわたしの魂の破片かけら
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やっぱりさ、ずっと涼しくありたいね。きらめいた君の汗が一粒
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プリクラを撮る前ひいてたアイライン「可愛く映る」と私のために
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知っていて実用しない技もある花魁姿や十二単も
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生魚食べられなくても大人だし ひとりで暮らしていくんだね、春
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理容師も美容師もわたし無免許です見様見真似も気づけば腕前
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三つ編みにしたいから髪伸ばそうかな、リップの色はすこし暗めで
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青年は床屋選びに悩んでた「切らせて、失敗しないので」
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今まではどこでカットをしてただろう斜視をずいぶん気にしてた君
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ときめいて君住む町の駅に立つ迎え待ちつつ見る茜空
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みどり目で長さ可変のふわもこがお尻を叩けとわたしをせかす
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ひとりでは飛べないことを知ってゆく ひなの翼のようなあなたへ
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いつのまにグルテンフリーになっちゃったあの子の指に鈍色きらり
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青春を飲み干しちゃおう ほろ苦いコーヒー味のフラペチーノで
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ランチどき廃校カフェの賑わいの名残り随所に「げんきなこども」
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晴れたなら 思い出しもしないのに 貸したまんまの 傘が苦しい
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詠み人は 孤独を綴る星の人 今日も素数を探す旅する
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たまにくる君がいたらと思う日に思い浮かべる君になりたい
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温度差に布団や寝間着悩まされ汗をかく日やくしゃみする日も
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顔見上げ引き寄せられたるオッドアイ茉莉花ジャスミンの香に吾こそ釘付け
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「冗談のつもりだったのに」神様の怒りに触れて楽園追放
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