例えもし わたしの身体を 燃やしても この想いだけは 焼け残るでしょう
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雨のちの暗雲のさばる空にさえ高く飛び立つあの鳥の名は
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あやまちを手繰る指さえ麗しい確かに君はファム=ファタールだ
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ふたりでさ誰にも言えないあのことを閉じてキスしてどこかに埋めよう
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きれいだねこの世のものではない髪だきみは最近この世にきたのか
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久方ひさかた天津御神あまつみかみ善人まめひといのりはとどあしきらしき
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陽だまりに聖人のような寝姿が くさ ひと ひかり 十字架の影
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猫カフェに行ったら客は男のみ全員チェックのシャツを着ていた
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血反吐でも吐けば認めてくれますか 頑張ったこと辛かったこと
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「好き」だけじゃ三十一文字は長すぎてあれこれ色を重ねてしまう
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覚えてるあなたの匂い 陽だまりに昼寝をしてる仔犬の匂い
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牛すじが歯間につまり舌でとる 母「怖い顔してどうしたの」
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帰ったら手首に二本腕時計パラレルワールド今収束す
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温暖化 濃いめに入れたカルピスを薄める速度増してく氷
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今日からの君が織り成す物語 積ん読のまま死んでゆくのね
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泣かないで?少し塩分過多なので飲み干しちゃうと怒られるんだ
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振り返り また前を向き 思い出す ずっと生きてて私のここに
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覚えてる?忘れたのならそれでいい、今日で捨てるわ 君も本音も
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何もかも よかれと思って、やってきた そう、よかれと思って……思って
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君となら全てどうでもよかったの 今日のご飯も借りる映画も
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元気ない?炭酸ジュース飲んでみる?今日空を見た?夏が見えたよ。
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Amazonの「おすすめの品」を意味もなく 彷徨くうろつく金曜午後十一時
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宇宙とはつまりいなかの少年は肩を叩いて笑い合う者
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甚平をちょいと着こなし七歳児 少し前まで指吸ってたのに
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紐がありしゅるしゅるとした質感の見知らぬ犬がぼくに首輪を
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日がなぱたぱたぱた水の落ちる音いつかひとつの大曲となる
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やさしいね水で満たされた白い部屋ひかりが射すとぼくはあなたは
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遺跡だよさよならの梅雨に耐え抜いた枯れた眼まなこは海に還って
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知らぬ間に失われてから久しいねいつかのわたしは二秒後の雨
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白樺の肌をわたしに刷り込んで明日あすには褪せるパレットの孤児
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