駅前の自転車置き場でやっていたドミノ倒しは風の悪戯
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憂鬱は真綿で首を締め上げて徐々に息の根止める死に神
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冬だけが好きだったのに 教室のドアをあなたがこじ開けて、春
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帰るまでが遠足です 帰らない祖父はいまだに出征中です
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ゾンビがあふれたこの街のスーパーは肉より菊の花がうれてる
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戦争や AI開発 人間を なくすことばかり なぜ人はやる
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母の床においはせぬか猫に聞くにやおうにおうと言ってるよ、とか
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眠る猫 ぬくみ愛しき 背を撫でて 夢は見るかと 聞いてみて居り
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貯筋へと意欲燃やす吾笑うよに三日遅れの筋肉痛よ
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隠れんぼしてみましょうか見つけてね私の歌にはいない私を
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特売の 素と豆腐で 麻婆丼 昼はすんだが さて夜いかに
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筋トレに励む我らは傘寿なり 風評なれども希望の星と
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猫も風邪 病院行って 注射打ち 食欲はある ちゅーるも食べる
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ふた周り先輩の背を見ていたがいつしか抜いて年上となり
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通勤中 脇を通過す 救急車 玄関口に まさかの停車
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昼時報ゆきやこんこん曇り空わだかまこえ雪原に滲み
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宅配のお弁当おべんと 取りに行ったらば 「なかった」言う母 今日は祭日
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「さよなら!」の四文字心の奥染みる次会えるのは百年後かしら
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曇り空のような男はカラフルな本の地層に骨をうずめた
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轍なし除雪も来ない人も見ず雪ちらほらと風の音して
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今壁はほっぺたあたりもう飽きたあと降らないですくんでおくれ
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肩透かし春風吹いても春は来ずあなた想ってもあなたは来ない
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水色の水がこの世に無いように人間らしい人間はいない
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見上げれば雲を透かしてお日様が見えなくもなく小雪ちらちら
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もしぼくが本であるなら無料のブックカバーを掛けるような
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また駄目なかすりもしない捨て鉢とかすったかもとわからないもまた
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晴れ間来て老夫婦住む屋根の雪下ろしするべく救世主来る
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チビ猫「うー」 ちま猫ちゃんと じゃれてたら くびわにおつめが ひっかかったの(救助しました)
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きっとうまくいくよと天使がささやいて 信じるものは救われるかな
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さ迷える幼な子どこへ辿り着く 安住の地は君の腕の中
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