推しにならすぐに好きって言えるのに どうして君に言えないんだろう
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雨後の路 優しく照る初夏の薄日 雨の残り香 心地よきかな
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うちの愛犬と 同じ霊園ところで お空に帰る あの日の陽かり まぶたに浮かぶ
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シウマイが551ならソースつけ 崎陽軒なら醤油をつける(だめおし)
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豚まんが551ならソースつけ 中村屋なら醤油をつける(なお引きずる)
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週頭、大家が出掛けていくまでの 永遠とすら思える朝よ
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週末の非日常と潮の香を 今日を始める糧とするなり
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雨音に混じる小さな鳴き声よ ウグイス色の生命いのちふるなり
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ふがいなさに自分で自分が嫌になるそれでもプロかほんとにお前は
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ひととせが いつの間に過ぎ梅仕事 地味に楽しや梅酒に梅干し
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早苗田の空を写した水面揺れ早苗は育つ蛙待ちをり
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穏やかな 陽光浴びる柿若葉 皐月の風にさらさら語らふ 
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立夏すぎて仕舞ひしヒーターをまた取り出し使ふ寒さよ小満の候に
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ヨギボーの妖怪がいて、八月はあらゆる部屋の角に蹴飛ばす
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ディスコースマーカー、指を絡ませて踊れ言葉がまたたく夜に
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花も咲かない小さな部屋の入り口でひとり私が死んでいる
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適当で済まぬ地獄を抜けた今、何故テキトーに過ごせぬのだろう
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カレンダー一日早く進めればおれだけの街おれだけの空
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パスタ鍋持ってないから二人分まとめて折れぬ『三本の矢』
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ぬいぐるみファインド・ザ・コア綿をゆき綿をかきわけポスト・ぬい・ワールド
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ととのえた僕の世界のバランスを君が崩してそして平和に
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どうぶつにならってその日ぐらしするはずなのにメモを手放せない
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鉛筆の芯を片手にとがらせて嫌なこと言うきみを見つめる
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じわじわときみの言葉がかな文字へゆるまってゆく午前2時半
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充電が2%しかないそう言って帰ったやつの既読が早い
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重い夜 母は牛乳を沸かした 小鍋の音を思い出す雨
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たこ焼きの 最後の一個を ゆずりあうひとに 国籍を訊く 無意味さを知る
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僕たちさアツアツよりもホクホクだよねと言う君を何年後まで見れるだろうか
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歳を取り 希望も髪も 薄くなる 手にした物は お金と持病
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何もかも 薙ぎ倒すような 荒南風あらはえよ 私の心も 薙ぎ倒してくれ
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