人様に 好かれたいとは思わない 人畜無害、それだけでいい
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世界など 滅んでしまえ、と願っても 地面があれば 歌は刻める
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思い出す昨日の言葉もやもやとホットケーキが上手く焼けない
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言葉では表しきれぬこの気持ち花束にして君に送ろう
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マフラーの内に巻き込む黒髪の手触りひとつ知らないままで
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ひとつ果てまたひとつ果て惰性のみ喪われゆくdead section
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帰り着けば 家でパーティー 女子ばかり 女子は7人 男子は僕だけ肩身が狭い
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髪切るのやっぱりやめます 君の言う「ショートが好き」はあの子限定
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もうだめだからサイゼリアに行きたい 天使の元でパスタ巻きたい
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もう誰も住まない部屋の片隅で役目を演じ続けるルンバ
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髪を切るきみの魔法を手探りでさがしたけれど見失った
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陽に透けて白けたメモにある字句を頬ばる冬の、厚き失恋
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選ばれた檸檬一つに付く嘘を籠に残して「彼」と支払う
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昼間からがんばれ酢めし疑獄など読んでいて皆生きていこうな
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ああ、ビリー・コーガンの目に満ちたそのやさしさこわさかなしさの夜
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お湯の底柚子を沈める手のひらに感じる浮力生きているのか
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迫り来る 感染拡大 増え続け 覚悟を決めた 医療壊滅
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コンタクトも化粧も落とさず背中越しに ポツリと「わたしいましあわせなの」
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動物の檻で飼われる動物以下のヒトというもののパワハラ
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あれくるう大吹雪のが白ばんでどのの窓もひどくケロイド
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真っ黒な曲がった指の祖父は描く宙に大地のひみつの歌を
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はくしょんにギターはばうおうんと鳴るタケにスタメン奪われた日に
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伝わらないと意味ないなんて嘘だ僕の中に「在る」だけで誰か
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彫刻の掴みかかる手落ちていた 心臓から生えていた指向
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「濡れる」という言葉が含む水分を数字で見たいと感じる夜中
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捲るおとは春雨のよう突然に幕引きされてわたしふらふら
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手を伸ばす私なんか見えていない君が一口桃を齧った
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滔々とページをめくる手は止まる そういや僕は現実に居た
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美しくあるだけでは伝わらない 今夜は星がよく見えますね
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「お父様」娘から叱られる予感しか無い呼びかけが来る
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