泥水に人影浮かぶ炎天下 西瓜割れ落ちあなたが沈む
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は氷 滅ぶかはりにいとし子ののみどの熱を雫に変えゆ
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五年内生存率は七パーと知ってか知らずかびわを食む祖母
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血を飲んで嗤って生きる僕の名を君は生涯知らなくていい
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AM3:00、殺人現場を妄想す。アガサ・クリスティ、震える手で読む。
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本の虫。蒲団もいつしか虫、喰われ。夜の灯に、僕も誘われ。
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わたしには名前があって生きてきた名前で呼ぼうひとつひとつを
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脳内に剥がしたくても剥がれない君の笑顔のカレンダーあり
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いますぐに話したいのに繋がらず 舐めてんのかと代理店に問う
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水仙のかをりただよふリビングに離婚届の紙薄かりし
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大波が逆巻く時代だとしても 君の言葉が私の錨
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なんかいい感じの上の句を思い付いた気がする 思い出せない
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数字追う日々の隙間に花をづ 心の棘も無心に還り
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ぐさぐさと 刺さるRTことばを 引き抜いて 正義のはずと 震えて眠る
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ちろちろと あなたが薪を くべるから 身体が膨れ 急降下する
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ヘラヘラと 薄い笑いを 貼り付けて 泣かずに帰る 下りの列車
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さようならぐちゃぐちゃの愛 めずらしい おでこのニキビを潰して歩いた
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見慣れない双葉芽吹いてもしやあの、黒い種からオシロイバナが
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病ある薔薇譲り受け奮闘す 馴染み始めた剪定鋏
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神様は決してズルをゆるさないのでひとりひとつのいのちです
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見間違う ガスメーターを 犬の顔 ちょっとばかし ファンシーだね
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「どうしても?」「どうしてもよ」で諦めた反動がいまぶり返している
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もういいの運命なのときみは言う「そこで運命粉砕機です!」
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灰色の波濤をすすむ白皙の遥か後ろはハルシネーション
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くろびかるあんたのバイクにあたし乗る、じこらないでよじこらないでよ
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ベッドからはみ出すあなたのなまじろい手足があって、遠いしあわせ
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白銀の碇を抱いてきみのいる海の底までたどりつきたい
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ドキドキと ビート奏でる 胎内の リズム解放 ステージの上
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あと五日  指折り数える  指片手  ワクワク感で  胸が高まる
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たましひの助かる術は胎動の妙なる音に対峙するのみ
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