舗道には散らばる落ち葉雨のあと薄く光って新しい風
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見たことのない空の青さを、毎日見ていた13の朝を春と言おう
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やっぱりか。坐骨神経痛むのは天気予報に居る低気圧
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眼の中をふわり魚は翻り見えてて見ない光啄む
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左眼が見えなくなった父と会う「すまん、すまん」と父がはにかむ
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家桜 道路のために 倒れたり あの満開は 最後の華か
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古団地 窓枠取れて 廃墟なりぬ 春の夜中に 最期迎えん 
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万物が諸行無常であろうとも 心に咲いたはなは散らない
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義娘むすめとの女子会ランチ赤ワインその美味しさに満面の笑み
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夕暮れに想いを込めて踏む影の鬼は変わらずいつも私で
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逢えないと分かっていても探してる 地元の街並み歩いた夕暮れ
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お風呂場でホクロの数を数え合う「あそこにもある」「・・・それは黒カビ」
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雨の中町内会の総会へ 見たことのない人が沢山
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ベビーバス貰った人にまた返す 頑張りますね五十代でも
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米粒がつなかい杓文字 細やかなモデルチェンジが進むキッチン
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届かせるために止めるなパスパスパス!困った時には頼るぜパパス
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やさいがしんなりするまでが分からない あたしとあなたは わかれどきかも
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「割れもせにゃ器屋うつわやさんが儲からん」責める事なく 片す祖母の背
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不登校吾子の未来が見えぬ今「信じて待てよ」と亡き母は告ぐ
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「いいんすか、ごちそうさまっす」頭下げボロい先輩の靴を見ていた
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遠ざかる死温が忘れられなくて三十一文字みそひともじで殺生をする
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「ひゃっこい」とキミが言うのが好きなのでひゃっこい手をまた入れる襟元
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一つでも母の身になれ介護食小さな匙に託した願い
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俺だけが傘さし歩く雨の街小雨だけれど耐えれないんだ
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花冷えの夜も心もぬくかりし寄り添ひぬる猫のをるゆゑ
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南風ふいて弥生は雨となるこらえた道の向こうには春
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解像度低い思い出話すきみ まだ思い出にできないわたし
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きみの鼻息かと思ったその一瞬 風の姿を借りて来てくれた
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末息子 駅で見送る巣立ちの日 泣いてしまった さだまさしの『案山子』
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「マクドやろ 小さいツなんかないやんか」関西人の言い分を聞く
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