指切りをしよう約束破れても君の小指に触れた本当
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強くなる日差しに未来は透かされて 生きてもいいよ死んでもいいよ
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陽だまりに浸かりすぎたと猫がやや春の死角でひと休みする
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装丁に惹かれた本を紐解いてゆくよう君を知るこの日々は
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最初から分かってたはず だけど君の姿が今は目に痛くてさ
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惜春に 春の彼へのルンルン気分を 詫び状の隙間に記す
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既に結論は出ているタイプの愚痴を肴に干す三缶目
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嘘に嘘 重ねて作ったミルフィーユ 素知らぬ顔で食べてあげるわ
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「幸せになってくれ」とかあなたから聞きたくないのよ、だって私は
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人なんて 変わらないさ 簡単に サイゼのドリアも 変わってないもの
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よぎるのは 全くもって 変わらない 成長もない ただ生きる自分
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「あついあつい」 ぐずる子どもを 横目見て 「あついあつい」と 呟く自分
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「お手柔らカニ」っていうカニがいたらなあ きっと甲羅もやわらかいし
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グレーじゃない グレージュなのよ ねぇわかる グレーじゃなくて グレージュなのよ
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静かなる死骸となればどれも似て、つまり生とは違ひゆくこと
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遠くから竹林鳴らす音の雨 人でなしは一度だけ名を呼ぶ
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僕の苦しみが、すべて君で消し飛ばせるなんて おかしいじゃないか
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「焦げるって知らなかったの、シチューがね、」世界のすべて信じてる目で
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好きだよ、と 寄せる波間に曖昧に困ったように俯く君だ
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やるせない思いはスープにしとくからあなたはそこで踊っていてよ
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二人掛けテーブルの上にストローの(love is over)蛇が伸びてる
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あの頃に目を背けたこと後悔に今向き合って輝きを知る
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コーヒーを 飲めただけでも すごいのだ ちょっぴり大人な 二十四の春
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飲めないと 自分勝手に 決めていた でもコメダで アイスコーヒーなう
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暮れた空 君が離れる 溢れてく・・・涙で切断 クソ  遅刻かよ
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きょう、君は 〝神様〞の座を退いて ただのきれいな〝僕〞になった
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もうそこに家鴨あひるはおらず逃げ惑う家鴨を追いかける農婦もいない
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ひとつずつドットを手打ちするように頭のなかにある未来を描く
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粉雪がレンズについて印画紙を一枚めくるごとに溶けゆく
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かなしみを布張りの表紙に閉じ込めてだれでも読める叢書にしたい
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