秋を染め 冬に散った 椛場もみじばに 緑がえて 君を思い出す
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遊ぶ子もなく夏の日に晒されてオブジェとなったパイプの遊具
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君は僕だけを自転車の後ろに乗せて共犯者にしてくれる
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「『きれい』ってつまりどういうことですか」 君がそうして尋ねることかな
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青臭い春の記憶を置いてきた 海が見えてた花盛りの町
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くたくたの毎晩抱いてるぬいぐるみ 店にいるよりずっと死に近い
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「この田には二人少女が沈みける」蛙低く鳴く候に水敷く
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鍵忘れ スマートロックがあるからと 安心してたらツーロック
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青いキャンバスにひこうき雲が八方に進んで滲む窓枠のなか
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探査機が超新星の呆気ないおわりに「あっ」と声を漏らした
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忘れるな 言葉は私が発しても意味を生むのは私ではない
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踏み越えた先に未来はない『しろい線の内側でお待ちください』
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「復興五輪」などと言う口閉じやがれ 嘘ばかりついて見捨てたくせに
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七月は暑かったなぁとカレンダーめくると本気の夏が待ってた
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横向けば過ぎたる日々のひとときの送りを許す風に祈りし
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うそのない唸る獣の声ききて階段くだる四本脚の
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あいになる鳴らない鈴の藍になるしずかなひとのあいに答える
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玄関の傘の隣に立ててある同じくらいに真っ直ぐな葱
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思い出はひとりぼっちのこんぺいとう こっそり甘い、甘いはずなの
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照り照りてやっと夕焼けシャーベットひと日の熱を冷ましたら f i n
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木洩れ日と思えばいいよ幸せは光と影の綾なしてこそ
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意思疎通できると思っていたのだね たかが言葉がわかるくらいで
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髪の毛はもう伸ばさない いつか来る王子様とか待ってらんない
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もう君に 会えないのだと 思う時 どうすりゃいいの サヨナラの時
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息抜きに 羽目を外して のんびりと しているうちに もう夜となり
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現実は 時にいたずら ふざけっ子 思わせぶりな 超現実家
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あわよくば 遠くの国の 言葉にて 架けた吊り橋 行きつ戻りつ
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一瞥も呉れずに飴を放り込むそうでありたい諸行無常に
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あわよくば 君の心を 掴もうと 思案あぐねて 奇跡は起こる
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あわよくば 君の心を 掴もうと 思えば君は 石に覆われ
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