地上は静か野山は黙し 陽だまりが旅人のようにさすらう
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森の奥 部屋の終わりと始まりのあわいを忘る廃屋のあり
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ドアノブの銀色きらきらきらめいて冷たさしめす首筋だけが
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扉開くそのとき夜は降りてきてとばりを破る獣が叫ぶ
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何気なく窓の向こうと見比べる七〇三番ランウェイヒット
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紙パックたたんだ先に感謝の字こんな世界になればいいのに
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棄民して メダルよろこぶ 愚か者
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バンザイと叫び線路に身を投げた令和三年八月の虹
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G-SHOCK 僕が飛び降り 死んだ後 君だけはまだ生き続けて
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君の心を通りゆく風思う 絆創膏は重ねて貼れぬ
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夜に糸の絡まってひとすじ落ちる僕の祈りのたよりなきこと
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揺らぎいる哀しい予感祈りをり貝の風鈴小さく響く
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叫びたる鋭き獣棲むわれにコーティングする無害な糖衣
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しばらくをまたさまよひてゐたりけり我が脳裏なる白き沙漠に
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余白あるソーセージパン持ち替えてポッキーゲームみたいに食べる
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く先でいつも手にかけアルコール今はつかの間涼しさ感じる
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「この恋を愛に変えたい」そう言った次の言葉を期待していい?
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夏空にふわっと揺れるポニーテール僕の心も少し揺れてく
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こうすればモテると誰かが言ったから夏空に揺れるポニーテール
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真夜中に 咳の発作に 起こされて 薬を飲めば 効くから不思議
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厳しきは 他人の誤り 指摘して 平然とする 人の冷たさ
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儚きは 人の命と 人生よ 善いこともせず あちらこちらに
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8月のくびれに砂はとどまらぬ 天地返して折り返しの日
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旧宅の当日消印有効の手紙の古きしじまの香り
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さんざめく小鳥の声のなつかしく裸足の森の枝おれる音
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星々の滅んでひかる気がしてる 割れる氷の音より速く
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もう誰も読まなくなった僕の歌 詠んで呼んではひとりで散らす
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もし君が半ズボンなら伝えるよ。 私とデートしてくれる?って。
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霧雨が海になるまで溢れてる他の誰かの記憶の中で
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銀色のフォークを桃に突き立ててお前を今夜こそ抱くからな
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