Utakata
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オリオン村
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不機嫌な朝でもきみの靴下の穴でおはようしてる親指
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淋しくて土手で飛ばせば一粒の涙のかたちを描くブーメラン
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星空はかみさまたちのチェス盤で動かす駒が流星になる
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肩や背に桜のはなびら載せられて知らずに春の運び屋になる
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見て過ぎるひとを百年前の絵の老人はただ風として見る
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サバ缶と一日分のひだまりを日暮れの猫と交換してる
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新聞のうえで爪切り片隅のしらない誰かの詩にそえる月
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さびしくて風吹く夜の裸木は熊手のように星をあつめる
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中継のカメラに目立ちたがり屋のピースのようにへばりつく雪
9
一日の終わりに星を画鋲にし掲示係のきみが貼る夜
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靴下とアンモナイトのかたちした猫をコタツで発掘してる
18
裸木はこの指とまれの指のような枝にさびしい星をとまらす
10
恋の矢をやがては放つためだろう少女は美
(
は
)
しき弓のよう立つ
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くり抜いてファイルしたくて夕空にトンビはいくつも輪っかを描く
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手のひらで雪を捕らえるこの町の音をまるごと盗んだ罪で
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読書とは短い逢瀬次に会う約束として栞を挟む
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夢までの水先案内するようにこっちこっちと鳴る古時計
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寒空にひこうき雲が幾筋も伸びボーダーのセーター着せる
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派手に手をふり間違いに気づきすぐそんじょそこらの私にもどる
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木造の旧校舎には夕暮れに数えちゃいけない階段がある
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不採用だった会社の案内は鍋敷きになる刑に処される
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案山子から案山子に飛んで夕焼けがきれいと伝言つたえる雀
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もう眠る準備をしてる忘れずに海馬の小屋の戸締りをして
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ピストルが怖くてきっと運動会ある日の空はこんなに高い
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いつかまた戻ってほしい本にだけちいさく犬の絵を描いて売る
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真夜中に祖父は散歩をしたらしく月の匂いがしみたサンダル
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縦笛のように両手で子にもたれ音が出そうになるコッペパン
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終点の駅の窓から駅長が双眼鏡で見てるキツツキ
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裏側の闇を陽気な餅つきのうさぎで月はカモフラージュする
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窓際にビー玉を置き少年のころ見た夏を呼ぶ餌にする
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