Utakata
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オリオン村
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蓋をするときに便器に落ちてゆき涙も排泄物だと気づく
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叩いたりそっと優しく濡らしたり雨にもきっと感情がある
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薄荷だけ出るドロップの缶のように淋しさばかり生みだすこころ
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ページ繰るかすかな音が本の虫たちの羽音のような図書館
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来世ではきれいな音の笛になるいくつも胸に穴があるから
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ひとつだけ持ってくものを考えるひとで混雑する無人島
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雨傘をかたむけきみは目を閉じて胸にある詩の芽に水をやる
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サービスのつもりだろうか淋しさと影を夕日は大盛りにして
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誘われてゆくバッティングセンターで表情だけは強打者のオレ
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この森で猫が宴をしていると思えば怖くない帰り道
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さよならと手を振るように運ばれるアゲハが空に揺らしてる翅
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窓辺には名前のしらない花がありあなたの好きな花と名付ける
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さよならは胸の水面に降る雨のようで波紋がずっと消えない
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瓶に挿す名もない花がこの町で最初に看取る生き物になる
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くたびれた日だけど床に脱ぎ捨てたズボンは明日へ駈けたがってる
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やることのない連休は「モモ」を読み時間を時間泥棒にやる
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溺れてるひとがいないか監視するように守衛は海の絵をみる
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いつか住みたいなとおもう淋しいと草笛を吹く子のいる町に
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ていねいに草花を描き本当は風を描いてる風景画家は
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桜でも桃でもなくて春生まれだったきみから香る石鹸
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星ひとつなくした空の悲しみを知らずにきみと見てた流星
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春風のホームで駆け込み乗車する桜
(
はな
)
ひとひらを待ち閉まるドア
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火葬場のけむりが空気に拡散しぼくらはすこしずつ死を纏う
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人のない夕日の路地の風だけがそっとめくれる乱歩のページ
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