拓治  フォロー 2 フォロワー 12 投稿数 302

水中のカメラの如く水眼鏡「ここは南国土佐ですよ」告げ 

漆塗った古いお椀に 一カ所ケガシタ子供の 手の爪の跡 

東西の町が争いぬ水論に 川幅狭く武士の高楊枝 

山二ツ 囲まれて引く 田草取り 手拭い下げて 捌きいるかな 

早苗饗(さなぶり)に田植え歌の演習を乙女するなり麗しきかな 

隣まで溝さらいする母がいて皆に感謝され顔晴れ晴れと 

田掻く牛 牛久保谷戸で 控えめに 水を舐めるか 眼を細めつつ 

高尾山春の霰にぶち当たり車の窓は固く閉じける 

虫達が外界へ出る 穴から這い出てゆく 春雷を合図にして 

4月に取り残されたように降る 少年時代の春雪の跡に 突如訃報が届きぬ  

菜の花はなんの花 この雨の名はなあに 「菜種梅雨」と 隣のテレビが言いました 

桜咲き風のゆくまま散りぬけぬ乙女の瞳の中の風景 

仏様を眠らする 安らかな春の風 お花が子守唄を奏でている 

遠く遠く近くまで来(きた)る春の闇は 私の恋の夢を覆い隠していた 

朧月よ 雲から見え隠れしてしまえ 私の恋心があなたに 少しくらいは分かるみたいに 

春月夜はまどろみの中 あかときの部屋に入り込む 

春の雲はポカポカ軽い 今の想いのす 私みたいに  

春の空は泣いている 心は春雨のように泣いている 今の私と同じように 

惜春に 春の彼へのルンルン気分を 詫び状の隙間に記す  

目借時女の子達が呆然と 卵投げ合うの眼瞑りけむ 

花の頃 小学校に目を輝かせた 新入生が覗いていた 

祖父の背におんぶしてもらいあたたかし 目を覚ませても息はスースー 

「ほんとかな ほんとかな」今夜 七時半 夕休みしつつ 明日の夢想 

一瞬の 出掛けた直後 春寒き 風の舞う中 詩の浮かぶ道 

焚き火くべパチパチ鳴りて底冷えの地に舞い落ちて夕映え覚(さ)ゆる 

「早春賦」音楽室のモーツァルト顔した先生面白きかな 

カラス等は 追いかけっこした尾羽根 また離れたり 新築の家の上でお戯れかも 

故郷にひかれる如く帰郷せり芹を摘みけれ旧正月 

睦月(むつき)の陽日々一日が長くなり凧を上げるの糸切れるまで 

芳春に春日の山へタクシーで行く夢見てた友との駅ビル