Utakata
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拓治
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花の頃 小学校に目を輝かせた 新入生が覗いていた
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祖父の背におんぶしてもらいあたたかし 目を覚ませても息はスースー
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「ほんとかな ほんとかな」今夜 七時半 夕休みしつつ 明日の夢想
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一瞬の 出掛けた直後 春寒き 風の舞う中 詩の浮かぶ道
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焚き火くべパチパチ鳴りて底冷えの地に舞い落ちて夕映え覚(さ)ゆる
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「早春賦」音楽室のモーツァルト顔した先生面白きかな
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カラス等は 追いかけっこした尾羽根 また離れたり 新築の家の上でお戯れかも
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故郷にひかれる如く帰郷せり芹を摘みけれ旧正月
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睦月(むつき)の陽日々一日が長くなり凧を上げるの糸切れるまで
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芳春に春日の山へタクシーで行く夢見てた友との駅ビル
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糸を吐いた女郎蜘蛛の格好をして ハァハァ台所を丁寧に拭く 退院したばかりのステキなヘルパーさん
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寒波来て猪鍋(ししなべ)すする山伏(やまぶし)の手のすくいよう日本画で見む
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枝先に止まるウグイス湖の雨寒きにも見に行く私
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目がキョロリ冬曙が家々の合い間から登り青空澄むか
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年超えてつるりと飲み込む去年今年蕎麦と歌とで締める忘年会
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年越しの一分前の鐘が鳴る次の音(ね)はきっと高くなるかな
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秋湿りじめじめ続く長雨に 一筋の光 虹が瞬く
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囲碁の扇の 石を少しずつ開けて それっ奇数かな
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盆東風の飛沫に乗りて静かなる傘のポツポツ秋の失恋
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この谷は深く深く 峠の前の 神かがったような空気
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看る親と病児の摩擦流星の夜に紛れて涙隠せり
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カラカッサみたいな枯れた枝先にノジコが鳴くよ「峠に雪降る」
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流れ星 星屑のような日頃の願いが 頭の中にかすめたる
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天の川はるかな宇宙見渡してこの地球もまたその一つかな
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風呂の中の扇風機 熱きゆでだこの 顔を乾かしている
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秋の陽は優しいよ 澄んだ目をした女性が 日傘をさして バス停で済ましていたよ
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空の旅秋の鰯雲がゆくその雲影に我は憩いて
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秋声の登山の一言「やくやった」さざ波のごとく鼓動が響く
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秋めくは虫の泣き入む雨ポツリ共に跳ねれど順々来たる
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晩秋のキノコは きな臭い紫シメジ 換気口の隅で干からびてた
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