耳朶をすきりすきりと詰るのは昇れなかった日々の足音
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苦い実が増えるばかりで手放せずこんな気持ちが愛ならいいのに
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追憶のつつじ並木を行く子らの影を辿るは花のなきがら
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きしきしと踏みしめ歩く純白を歩く先に光が見えた
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右手曲げ左肩折り首を下げ目を釣り上げて腰を沈める
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静謐の雨にらんらん花燃ゆる止めた呼吸を空に返せと
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網膜を残さず剥いでしまいたい正しい世界がうつらないなら
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あまりにも足りないものが多すぎて蛇足を言える人に惹かれる
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夕暮れに君を想って泣くことを鼻で笑った君が好きです
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喫茶店マスター黙って注ぐ水君と僕とは緊張状態
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「神様が、写ってる」と君は言う。それはハレーションだと言えない、言えない
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金のすず音なくゆらし人を呼ぶ木犀の日はしめやかに立つ
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金いろのかをりのつつむ小路には木犀のとき光りたゆたふ
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わたる風にあかるく光る秋はあり古人いにしへびとのおもひを歌ふ
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みかん五個りんご七個を買う少女教科書に載る片思い
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なんとなく「恋」ってやつは信用ならねえ だって支配欲だったりするじゃん?
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札幌のすすきのにあるラーメン屋『すすり』の麺とお肉の調和
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今日君に逢えたらいいと思うけど逢えたところで何も進まず
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静けさの中にサイレン右左紫煙が煙る午前二時
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三、二、一… ほどよくつまみが焼けたので 今日の酒歌これにて終了
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「とりあえずビールで」などとは言うまいぞ 「どうかビールを飲ませて下さい!!!!!!!!」
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小太鼓のみて閉じる傘越しの空に龍神雨を吸い込む
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ああ好きだ 好きだ好き好き 酒が好き 呑めよ呑め呑め呑まにゃあ損損
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酒呑みと恋する者の行くという 如何なるところか地獄というは
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顔を見て気づかないでね 私利私欲にまみれている耳元のあな
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晩飯に食べたおはぎが甘すぎる しらけた顔のビールとつまみ
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音もなくベッドに散った紅白を踏みにじるよう微笑むきみは
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ルビをふる 読めるジだってかまわずに 誰も知らないシに向かい合う
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「君はどこ?」空白の桝目に書いてみた本当の君は赤坂サカス
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コンビニのおでんを頼む君の顔少しだけ頬が赫らむ
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