如月にミンミンゼミの大吹雪 春に抗え最期の吹雪
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昼ごろに お腹が空いて 出てみたら 南半球から 帰ってきました
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顔のしたなべてどくろとおもふときほのかに白きどくだみの花
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褐色の洒落た名前の黒糖のいつかの夏に食べた蒸しパン
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UTAKATAの 心優しき住民の 愛しい言葉で 励まされる日々
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日曜日 窓から青い風が吹く まだまどろみたいよ 夏の始まり
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三次会相容れなかったお互いの心が少し溶けた気がした
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帰り道 夜風に押され夏のペダル スイっと星まで寄り道しよか
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メンヘラが優しい人と付き合って薄れゆく殺意キロクだけでも
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‪計算で切り捨てられた小数点以下はそれからどこへ行ったの
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あなただけは何も知らないままでいい 今夜こぼれた涙のいろも
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多摩川を流れるはずの水滴が車窓について都心へ向かう
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フライパンへ油をひいていくように路面が光りできる水たまり
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手足からぽろりぽろぽろ朽ちていく これでようやく綿雲になれる
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早いうちに閉じ込めておけばよかったな ※この物語たちはフィクションです
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「生きていて」儀式のように乞い願う 百遍は見た最後の書き込み
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何もかも陽炎だったというならば少し笑える気がした、九月
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またいつか。君が笑って幾星霜 今日も愚直に信じています
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夕暮れのロマンチックな海岸はあなたと見たから綺麗だったの
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脱ぎ捨てたパーティードレスの皺数え 酒と飲み込む傷心の痛み
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揚羽蝶育てた恩など露知らず 自由に飛んでけ幸せになれ
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夕立ちをあつめて速しあの川の流れのごとき我が涙かな
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絶望まっくろで爪を塗るのだ ほんとうの僕を誰にも見せないように
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あたしたち どうせいくなら一緒にそこまで 手繋ぎ足踏み 西側の窓
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いつもより熱い湯船へ沈むときソーダに浮かぶ氷のきもち
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「好き?」と聞かれて「好き」と言う。「何が好き?」だと、君ではないけど。
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ひっとりと掌にのる雨蛙 重さでお前が生きていると知る
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「変わるから。」 頑張ってください、毎度あり。 何度めなんて 言わないからね
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愛してる なんて言葉に浮かされて 舞い上がっていた 日々よさよなら
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田んぼから夜な夜な響く大合唱 カエル議会は紛糾の模様
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