親子ほど 年の離れた 同僚と 夜のサイゼで 独身気分
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履歴書の自己PRを得意げに書ける人生送ってみたい
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君が旅立つ方角に日が沈む 燃える夕焼け餞のごと
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スカートをめくりしときに すきまから 見えし花弁は 赤く染まりて
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紅色の 林檎はスロー モーションの ごとく腹の 底へ沈みたる
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出来合いの泥土でつくるデザインはでたらめだけが出尽くしている
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感情を振りきっていけ振り向くな足を止めたらしかばねとなる
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仕方ない「仕方ないんだ」ふざけるな胸の内側恨み抜く神
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湧水の振りした水道水を詰め早緑匂う丘へと向かう
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町内の懇親会を予約する 三年ぶりの店長の声
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久々に 夢に出てきてくれたなら 朝までを 抱きしめてたい
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子には言う「立派な人になりなさい」そんな人には誰もなれない
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子にぞ説く人のあるべき立ち姿 誰かはなるべきと内にぞ思ふ
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大学を辞めた予備校にもいかず 仕切り直しの受験に挑む
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引っ越した下宿近くで見つけたり 馴染みになりたい小さな古書屋
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春先は見慣れぬ顔によく出会う 朝食前の池の周りで
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街をゆく 人は誰もが 人生に 目的持つと 見える日があり
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雨宿り大きなシャツは憧れで 通した袖をつまんで見せた
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好きな子と行くのにいい店知らぬかとそれをわたしに問うのはやめて
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夜色のビー玉つまみ灯にかざす 心映して揺れる天河
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彼と飲むお酒はいつも格別で頬赤らめて天にも昇る
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プチ自慢 母は体育 オール5で アヒルの行列 息子は父似ちちに
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「気をつけて」毎朝だんなと握手する 今日が最後になりませんようにと
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初夏はつなつの風に誘われ見上げれば 真白の小花 甘く枝垂しだれて
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音だけで以前はちゃんと意味取れた妄想孟宗汁や台風タイカレー
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ラーメンの上に卵を割り入れて夜中に生まれた小さな太陽
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まだ尽きぬ叶えて欲しい願いあり 二重にかかる虹よ消えるな
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あらし過ぎ雨戸を開けるその刹那 よぎる巣くりし小鳥の姿
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うそらしい かおしてさくか ばらのはな 姉妹たがいに おもてそらして
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真夜中に嵐となりぬ カーテンを少しずらして稲妻を待つ
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