酢豚になりたいか? それとも角煮になりたいか? 塊肉への詰問
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翡翠を嵌め込んだような眼の中で陽炎が涙を流している
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オレンジの重さに落ちてくる空にきみの背丈が頼もしいこと
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見習いの詐欺師の嘘は手が込んで嘘というより絵画のようだ(※)
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傷創が蝕む身体を夢見ては 結果は見事なオールA
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また会えた あえたあえたよ また会えた あえてこがれる いとしき人よ
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成人年齢引き下げだって、きみはあと10年先くらいかな
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シャッターやシャッターなどが名物のゴーストタウン住み心地ペケ
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これまでに殺したすべての生き物になつかれてしまう悪夢で起きた
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LINE見てTwitter見てゲームして明日の明日早く起きたい
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愛だけを伝えられればいいのにね 寝顔見ながらまた反省会
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夕暮れに 灯りともり始める食卓の ぼくの知らない地獄たちの
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撃ち方は あたしが覚える おまえらは 後部座席で幸福を数えろ
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退勤を定時に済ませ明るさの残る桜の街路樹を行く
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蝕まれ 掘られてみたし あら大きい! ありがちなれど 虫歯稀なり
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傘の下 君の右肩だけが濡れ 私の心臓ハート ドクンと跳ねる
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棺のなかの死者と棺のそとの喪服は揃いの仮面をつけて
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折れたハサミのとなりの台座に拳を掲げ勝利を謳う銅像がある
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凍ったアクリル絵具をひりだして飛魚のごとき流星を描く 
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唇はギターのようで指先では弾けないFも難なく鳴らす
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頭蓋骨は陶器、眼球は牡蠣の実をひとつぶ浮かべたチャウダースープ(※)
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書を燃やすような羽音の昆虫が冬の昼寝を飛び回っている
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大切なモノが壊れたあの日から 過去の残滓を心が拒む
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たなびいた旗を持ち上げ 水をとり、続けて綴る 送信音を
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雨の音、五月を抜ける、涼しげな 空の色と君の情動は
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いんちきに思えてならぬ透明なフィルター越しのレジの向こうは
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甲乙をつけろと花に言われても桜と梅はどちらも一番
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起立、礼、やばい宿題やってない、窓からの風春だな、着席
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縮毛を矯正した日すこしだけ死んだ気がした私の身体
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いいんだよ空は複数系だから戦火と夢を同時に見ても
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