一時ごろ合鍵使うひとのこと何も知らない シンデレラかも
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南へ行った彼を追いかけている 私どこまでいっても動けないわ
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あなたの甘い笑顔から抜け出したい 冬はタバコバニラの香り
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二月の画面の中のあなたへ 思わず泣き出してしまった九月
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あなたとは明日のことを考えるだけど来世はどうでもいいや
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振られても未だ絶うまじこの恋の 秋の夜長を彩りけるを
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帰り道 家がゴールか 石を蹴り 知らない子だが 自分を重ね
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桃の種「これが太郎になるのかな?」可愛い疑問を茶請けにする午後
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髪を切るときは私の顔色を 少しでいいから気にしてほしい
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ベランダで 繁る草々見つめてる 私、大人しく生きすぎてたな
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御朱印を 頂く手には 白檀の 香りかすかに 秋の禅寺
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酔い止めに忍ばせているアメジスト すがるように両手で包んでみるの
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眠る胸すくへる孤独残酷の日時計影おりかさなりて枯葉
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夕焼けを殴って証明する存在 汗をふくタオルは家に忘れた
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スリープモードのlaptopから 午前2時になると鳴りだす時報
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くらがりや布ひと切れに浮かんでいく昨日のような君の面影
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俺の脚相棒が いなくなっても 俺の人生✕✕ パラ目指すから 椅子せなかを押して
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格好を付けて。そう、そこも! なかんづく技巧まみれのうたならめやも 
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女衒様ご堪忍つかぁーさい!…さい! 色欲と豚塗れなりビックカメラの 
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靴紐をほどく君の手見ただけでもう既に食べてしまいたいほど
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名無し様怒りの懺悔室に集ふ怒れる十三人のをとこと
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潮騒に似た風音と虫の音は夏を殺めた共犯者たち
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君の履くオールスターのハイカットあの足音はまた喧嘩かな
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サド歌壇。サド歌壇だな! いわずもがな狂気剃刀一枚とて隙無し 
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お誕生日ラッシュの9月はいそがしい 母にわが猫に 友達3人
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旗を振るおじいちゃまにも「おはよう」と 清々すがすがしい朝今日の始まり
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朝日にも読売毎日歌壇にも一度として載ったことがないわたし 
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あの月が満ちると夢が叶うらし 人生の夢また一つ消ゆ
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アルブレヒト・デューラー「復讐ネメシス」像の幾多度刷られ幾多度の戦争 
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かなしいかな、正義の仮面の内側は――、嫉妬と報復でできている。 世相。
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