沈丁の香りほのかに小夜ふけて「義に飢ゑ渇くひとはさいはひ」
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うららかな春の陽射しにさそわれて 二度とさめない微睡みよ来たれ
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春風をになひて去らむ彼の岸へわらへ笑へやかんらかんらと
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もうだめだ 眠気でスマホどころじゃない おやすみなさい あなたも寝ましょう
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また明日誰にも言えない泣き言を よければ聞いてねお星様たち
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星はもう薄く見えてて左手のすもも酒だけがからころ笑う
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もしも明日推しに会えたら喧嘩して 渡すはずだった献花を散らそう
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寝る前に布団みのむしはいでやるふたりでみのに入りませんか
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夜も浅くあと少しすれば日が昇る 夜更かししますかそれとも寝ますか
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すくいたい人も金魚もすくえずにふたりの心がやぶれかぶれで
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淡々と去年つけてたすもも酒を飲んで心の冷えを取る夜
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夜に浮かぶ誘導灯をたどったら あなたのもとへ行けるのかしら
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眠れない惨事と化した三時半 暫時夜に揺れる山査子の影
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みちみちる想いが紺の紫陽花になってひとつふたつとひらく
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ドミノピザ回しすぎたら飛んでった、地球の回る速度が遅い
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天国に行けるとしたら幸せかわからない、こん、鍵落としてた
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今日からはたんほぽぽの根を掘っていい春なんてもう飽き飽きしたの
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一日に一回以上は大好きと言ってるからさそろそろ慣れて
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毎夜毎夜電話を掛けて来る人に落とされ左に指輪をしてる
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ヴァロワ朝系図うつくし解きがたき糸幾重にも結ぼほれつつ
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紅茶党過激派の友がカフェラテを頼んだ、これは恋をしてるな
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この街のコンクリートは食べ尽くす 巻貝結社まいまいんより
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性愛を詠みたくなる夜少しだけ冷房掛けて心臓収める
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くちびるを這わせた首筋小刻みにふるえる身体わたしのものだ
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僕よりも君が先に死んだなら成仏せずにずっと居てくれ
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くちびるが声を漏らしてしまう夜殺意に似てるきみへの想い
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どうしても想いが強くなる日にはベランダで髪ボサボサにする
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満ち足りたきみとの恋を飽きたってやめはしないとポラリスに言う
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卒業式スーツ姿の知らないあなた素敵と思って証書をギュッと
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トイレとは一畳にだっての満たないはずの宇宙と呼べる素敵な広がり
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