やぶさかでないわけでなく藪坂を越えるやぶさか難儀なりしか
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明日などもしもあるならお願いだ私をすっと無くしておくれ
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憲法で夫婦は互いに協力・・・は、出来なかったら別れていいのか?
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本当は頼りたいけど紙面上別れた男性ひとにすがれぬプライド
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片付けは捨てる勇気と工夫だけ 百均行ってどうにかしよう
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サイレンの鳴り響く夕この街は私を静かに拒絶している
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予約なし飛び込み診療長く待つ 申し分無く何かが出来る
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いい年で何が愉快で騒ぐのか 図説にあったBoschボスの絵みたいに
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「先月は急な変更すみません。」予約診療コロナで流す
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初めての循環バスの停留所 発着別の一方通行
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いい感じの流れにはなってきたもののひたすら動きたくない
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傘ささず 雨の夜道をひた進む スーツケースのかなしき音色
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青春の 淡い記憶の 想い出を 美化して上書き 保存かな
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生きるとはたいせつにしていたものをどう手放すかなのかもしれぬ
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忘れたい忘れたくない忘れたい頭のなかで千切る花びら
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飲まないと耐えられそうにない夜に思わずオールバックにしてみる
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くしゃみすらし辛くなった世の中は一オクターブ低音になる
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校庭を 眺める先は 想い人 流行りの歌を 口遊くちずさみながら
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ひそやかにマスクの下で咲いている薔薇の口紅だけが尊い
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平面じゃ相合傘の棒は壁 だから僕らは放課後に逢う
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ファンデ越しでしかあえない 0.02ミリより薄いはずなのに
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君のしあわせがわたしのこうふくと言えるほどには幼くもなく
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傷ついた人に優しいだけなんだ 気づいたときには傷ついていた
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「誰呼ぶ?」じゃなくて「誰か呼ぶ?」なんだよ、『別にいいよ』ってどっちなんだ
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終電が発車するまであとわずか 間に合わなくてもいいかな なんてね
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不思議とな、僕らはズレてはまた呼んで。作り笑いはゴミ箱すてて
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耳元で君が囁く「La vie en roseラヴィアンローズ」恥ずかしがりやな君の口癖
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自販機の下を見てみろいくつかの十円の奥に永遠がある
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透明に下がるつららを見つめつつ細くなりゆく自分をおもう
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中継のカメラに目立ちたがり屋のピースのようにへばりつく雪
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