選挙車の連呼に目覚め泣き叫ぶかはいさうな子選挙滅びよ
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みずうみの薄氷に穴あけながら永遠の世界のドアノブ探し
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この胸に白いダリアを突き刺せば初めて行った海色になる
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初恋が呼ぶ声がしてチューニング直したけれど恋が濃くなる
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失うと生きていけないひとだから指をたべたい地球の最後
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月光が背中に刺さる半分に切れたわたしの右はにせもの
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横顔にふうっと息を吹きかけて綿毛のようにちりぢりにする
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ショートケーキのフィルム一周させながら存在しない三毛猫を踏む
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靴ひもを解く値うちさへなき我といへども春のあはれ身にしむ
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毒きのこに向けるみたいなまなざしでスカートと脚切り離してよ
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ねえ今夜ひだりの翼折っちゃおう少し自由が欲しいんでしょう
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この星をモノクロームに変えたなら海がこわいと言えなくなるね
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羽根広げあなたのために堕天するくちてくちづけくちきのうえで
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紙袋被った匂いさせたひと安心を飴で固めたひとよ
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姿見の前で崩れ落ちる愛撫きらめく吐息まっしろしろに
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赤信号わたってしまうひらひらと黒い揚羽が飛んでいるから
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感傷にひたっていたらチョコレート手のひらいっぱいに濡らしてた
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「しあわせ」と呟くこころの声だけがわたしの中でこだましている
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髪の毛は死んだ細胞、死ぬ前にきみの死骸をちょっと食べたい
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鳩サブレ、どうしてきみは飛べないの はやくわたしを空へ返して
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散るというこの世の理示すよう苺カルピス床に滴る
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虹色の羽根をした蛾はバス停で光に光重ねて休む
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ふたりきり言葉を忘れて生きたいね人魚のオスとメスになりたい
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そばで寝るあなたのシャツが瑠璃色で今夜わたしは深海に棲む
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涙もろい魚をいっぴき飼っているこころの水がたまにあふれる
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魂を陰干しにして春ふかく昔のひとをしのぶもぢずり
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呼応して指の先から伝わるはあなたが求める甘美な戯れ
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お花見にギター持ってくるやつと友達になんてなれやしない
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Li nouviaus tensあたらしいとき  令月の風和み 吹き寄す岸に さゝら波立つ
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思ひ川わたればくらき通ひ路に沢の蛍のあくがれいづる
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