いちめんのボーダー柄の床のうえ針を投げては円を求める
1
溶かしたり混ぜたり焼いたり固めたり 愛情競うバレンタイン戦争
2
しきくうくうしきだというのならひとはどうして死ぬのだろうか
4
ハザードを焚けばいいってもんじゃない どこ停めてんだこのバカップル
3
吹き降ろす冷たい風が身に染みる 車は流れ横断できず
3
お互いの理想で出来た中庭を見せ合うように花を選んだ
11
どこからが空か答えを探すよう好きな理由がないままの好き
11
帰路すこし聴きながらゆく傘の肌あたる雨粒たちのショパンを
4
貧困はカラダココロも辛いけど、わたし前より幸せだよね。
12
適切な言葉分からずお辞儀して帰る先代社長の葬儀
3
公園でよその子見てたら母親が「変なおっちゃんいてるから帰ろ」
2
ボツ短歌しか出てこなくてパチパチとリングノートを一枚破った
6
チョコレート工場の稼働なくなりて甘きにほひの消えた二丁目
3
初めての循環バスに無事に乗る 帰りのバス停違うんだけど
4
死にかけの星を包んだチョコレート ひと粒ごとに夜が近づく
2
適正な人類の数を決めてくれる人類以外の誰かが(いない)
2
「何もしない」ことはできない生物としてCO₂など吐いている
2
よく見れば都会のこんな真ん中に春の欠片がほらあそこにも
4
都会にもちっぽけな春はあるけれど大きな春は無理と違うか
2
白無垢を着つねの嫁の出る門は青空ながら雨のふる寺
4
たんたんたん狸の金の玉くしげふたつながらや風に揺るらむ
2
佐保姫のころもはるさめうち烟る野辺はわらびやもえわたるらむ
2
昔誰すみれの花のひとり咲く荒れにし垣に春風ぞ吹く
1
絆創膏外して着けず アカギレの痛み和らぐ春はすぐそこ
3
ご近所の最高齢の婦人からオカラいただくバレンタインデー
5
義理だよと言い繕ったチョコレート奪って妻はバリバリと食う
3
こつそり買つたハムカツ五枚食べきれず怒られるかと思つて捨てた
2
それだけの死体をざぶざぶ積み上げて 貴方は今日も歌うんですね
1
「電気代値上げ反対だから脱原発」とデモ 訳が分からん
3
遠方の黒く見えるはドローンか鴉にしては垂直に飛ぶ
3