造形と透明度では負けるけど音だけは良い製氷機産
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やや涼し 夕暮れ時に 出てみれば 声もかすれて 鳴く蝉あはれ
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すぐ既読つけたらひかれてしまうかな 変わらぬ数字をながめる時間
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風流ととても言えない姦しさ虫の合唱深夜に及ぶ
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鍋いちめん湯気にも負けぬなすの青柔くとろけて盛り付けを待つ
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真夏日も 空はちょっぴり高くなる 秋を連れてきた ゆうべの嵐
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青嵐去って一輪挿すだけの花壜がひとつ行く不明だ
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コーヒーと紅茶の違いはあるけれど 僕らにしかないリズムがあるの
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「イヤリング似合って良かった、これを見て、君みたい、って思ったんだよ」
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ねこがいる それだけで別にまあいいか ヒトはあてにしない 頓服のムダ
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赦すべし 人の落ち度は 当たり前 いちいち言えば 己が窮す
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憎しみや 怒りに負けて 佇めば 愛は過ぎ去り 安らぎを得ず
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一日が あっという間に 過ぎ去れば 一生さえも 車窓の景色
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息子から脂質が多いと指摘され 息子きみのぽっこりおなか見つめる
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永遠の 帳が破れ 裂け下る 微笑む神の 御顔仰ぎて
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呼びかける 届かなくても何度でも分布の裾でたたかう君へ
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いつの日か この世は屑と 消え失せて 愛する人と 永遠に憩わん
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人々よ いずれは消えて 塵となり 忘れ去られる 愛こそすべて
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ただ一人 生きては行けぬ 永遠の 家族となりて 慰めを得る
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人は死に 生き返りては その道を 進みて永遠の 人となりけり
2
母呼びて 帰らぬ人と なりにけり さようならだけ 声になりけり
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日常は日々平等に繰り返す 去ってゆく夏やってくる秋
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本音だと 生きて行けない ものなのか 叩き直せよ 性根の悪さ
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血はピンクでかわいいほうがいい 心臓はハートの形をしてる
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みんなに優しい彼の足元に 勘違い女の骸の山
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みちばたに ひとつふたつと にんげんの ぬけがらおちて 天使にかわる
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撥条ぜんまいを巻きなほさせてもらへないまゝに話はつゞく 蜿蜿えんえん
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泣いてない泣いてないからたまねぎを刻む刻んで刻んで刻む
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せんしして うえてほそって しんでゆく それをしってて めしくいわらう
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寝苦しい夜も過ぎれば一瞬の夏 記憶にあるはまぶしい光
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