外見しか 見ないようでは 遅すぎる 大切なもの 忘れてしまい
0
イライラを ぶつける妻の 心根を 糺す希望も 能力もなし
0
地獄とは 針や血の海 見なくとも 両手両足 自由が利かぬ
1
人間は 勝ち得た地位に 頓挫して 威張りて下を 見下すように
0
出て行けと なじる襖の 向こうから 恐るべきとは 妻の存在
1
一分の祈り捧げる黙祷に我も我もと降る蝉しぐれ
12
黒点があわく浮きだす瞬間に三日月を食む 熟れた地球で
2
汗殺すあなたに残る石鹸とタオルの湿り垂れて折りにし
1
酔客が絶えず香りし早朝の 接続詞の詩 渡り鳥の死
1
この身体しか知らないし引っ越しもできないという不自由がある
10
真夜中を瞬く独り言みたく赤らかとした止まれの合図
3
今欲しい答えはこれやあれじゃなくその中間にあるものなんだ
11
耳寝せた君が慌てて横切ったとんびがひゅるり啼きつるらむと
1
天候が崩れた日だけの特産品 ぐっすり眠る古い巻貝
1
親密な 関係だけを 願いつつ 無視されながら 死んでゆくもの
0
ふと思う インターネットと スマートフォン 人と人とを 疎遠なものに
1
危機迫る 現代人の チャレンジは ぞっとするほど 大規模なもの
0
暗き歌 今の時代に よく似合う されど希望を 捨てたらあかん
0
哀れです やることだけは するにせよ やりたいことは 御法度ばかり
0
哀れです わけのわからぬ 不安だけ 若き美空の 立ち往生
0
哀れです 未来のことは わからぬが わかっています 死ぬことだけは
0
哀れです 他人を助ける 気は有れど 誰も頼らず 淋しい限り
0
哀れです ないものねだり するばかり 感謝の念は 微塵もあらず
0
哀れです 年を重ねて 幸せに なれる思うと 大きな誤算
0
山風がはこぶ青草匂い立つきみと歩いた風の通り道
4
自分の人生が死ぬのはいいけど 世界が崩れるのは苦しい
1
思っていたよりもずっと薄かったあなたのからだ 夜明けの湿度
0
やわらかく笑う貴方が意志を持ち突き付けてきた あの日のやいば
1
すべすべの椅子作る父の掌はざらざらなのさ、それが好きだよ。
3
瓦解することを恐れて息止めた優しさは何を残してくれたの
0