亡き人へ 胸の痛みを捧げよう、ラヴェルの響きと祈りを添えて
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ふわわふわメレンゲ飛んだ日記には書けない秘密飲みこみながら
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あづけたる園の電話にはせゆけばちひさき額に熱さまし貼る
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火照ってる指を 貴方に押し付けたい 焼きごてのように 記憶されるため
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夢の世に身のおきどころなきままに如月やよいはやも過ぎにき
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公園でセピア色した飴舐めて胸に羽毛がひとつ刺さった
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ウォークマン電池が切れて見上げたら虹に全てを奪われてゆく
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つくり笑いも美しいひと粉々に割ったファンデーションを拾って
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とくとくと脈をうずかせ降りてゆく階段の下の檸檬目掛けて
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日々日がな小さな窓を見ていたらあなたに悲しい思いをさせた
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パンジーの香りはすれど姿なく木枯らしに乗り春を探して
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取り込んだ洗濯物に張り付いた桜の花弁で春を知る朝
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病める子のつぶらまなこにあまえれば添ひ寝せむとてエプロンはづす
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死ぬ前に愛されてみたい 私には母は素敵なものじゃなかった
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外側はカリッとしていて内側はフワフワのホットケーキが食べたい
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Et vous, et moi. 貴方がいて、かつ私は何処へとも消ゆ 排他論理和
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その眼鏡割っていいかな正体が堕天使だって知られたいでしょ
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雨ざらし狭いテントに見守られ旅の不安を抱えて眠る
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下方置換息を集める理科室の窓から音符ぽろぽろろっこ
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ベンチの上硝子細工の金魚抱きすくわれるのをずっと待ってる
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深酒は忘れるために呑むけれど効かない麻酔を注射するだけ
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よもぎつみゆがけば青みあざやかに春の団子にいろどり添ふる
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昼食を君と一緒に食べたならもう今日一日ひとひ何もいらない
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気付いたら日々探してる言葉たちあなたを文字で昇華したいの
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お城から神様は抜け出せなくて今日はケーキを焼いて遊んだ
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あの夕陽きらきらしててまっすぐにすすんだきみを包んでとかす
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「帰ったらラインする(からあの子とは通話しないで待っていてよ)ね」
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あのひとの夜がきれいなものであるように祈った三月の末
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ふと出会う都会の隅の桜にあと何度救われ生かされるのか
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美しい国に生まれて唄を詠み美しい時代に生きる喜び
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