ムルソーのもとには来ずや異邦人救ふといへる万軍の主は
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まぼろしだった朝に抱きしめてくれた人のぬくもりで生きていく
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透明なわたしたちまだ羽ばたかない やさしさばかりが傷つくる夜
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ゆめまるく稚きまでに膝を抱くわが子のようにふるえて眠れ
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シリウスに背を向け僕はここを発つ 明日は一人の春だとしても
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マシュマロをくわえむさぼるくちびるに桜ひとひら吸いこまれてく
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はかなくも滅びにいたる河なれやタイムラインにさくらながるる
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明日など判らぬ者の残骸を踏みつけ歩く長者ども
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さよならもいはずわかれしひと思ふ夢のもつれのはてのあけぼの
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朝早く起きる沢山の人々、東日は君らのためにある
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晩酌を諦め迎えた翌朝のイルガチャフィにはらはらと泣く
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九畳もいらない褪せた荷物など全て燃やして焼き芋焼こう
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あしたより夕べをこのみ春よりも秋を愛するをみなごなりき
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トイレとは便意がなくとも行きたいの。いや狭いけど無限の宇宙
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わたくしはウォシュレット設置を義務付けます。反対?うるせえ痔になってみろや
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目を閉じると瞳閉じるはちがうもの?まぁわかってて言ってんだけどさ
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さわらびの野にもえ出づる春されば 袖のこほりも風にとくらむ
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さみしけり花も木もなく鳥もなく人は何処に泣く事もなく
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忘るべくときとり集めそらんずば苦味ある事ごとらずあり
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教室から校庭までをトンネルで滑り降りてたなんでもない日
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酔っていてもごみ箱にごみを捨てるきみ(ゴミは床に落ちているけれど)
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両の歯の同時治療が運の尽き 何を食べても残るは鈍痛
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生え際に産毛のけぶるみどりごにほほをよすればミルクのにほひ
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おのずから付けて仕分けたお名前にカテゴリー縛られなんだかズレてる感じ
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黒ネクタイしずかにほどきあたたかなビーフシチューを音立てすする
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空き缶にミントの葉っぱ詰め込んで世界を逆さにまわして眠る
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桃栗や柿を植えるその奥に終の棲家の覚悟が香る
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もろもろのわだかまりなどつぎ足してビーフシチューは二十歳になった
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海底にいっぽいっぽとしずみゆく春のまじないうち消すように
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お祈りの終わりのようにまぶた閉じ棒キャンディーの取っ手をなめる
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