あやす手の拍が止まりて起きる夜半きみの寝息でふたたび夢路へ
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‪本棚に残るあなたの面影は今や私の一部でもある‬
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やさしさを重ねてみっつ積み上げた 崩れないままひとつ壊れる
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楽しさは楽しさのまま此所ここにいて、どうか私をおいてかないで。
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寝たらまた朝は来るから逃げたくてたまらぬ夜をさらに更かして
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蜂蜜が固まったけど湯煎せず、羊羹みたいに掬って食べる。
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一日の半分だけ自分を生きて残りは君を考えている
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五七五眠れぬ夜につらねては聞かせられぬと消したこひうた
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カチコチと心刺す夜のとばり落ち 上手くなったよ独りで寝るの
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手を振ってさよならバイバイまた会いましょう それが最後になるなんて
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恋なんざやめてしまえと思うたび夢に出やがるおまえがにくい
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ドアの音気付かないふりほくそ笑む 狸寝入りに気付かないふり
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一度くらい素直に好きだと言えばよかった 2万を包み三度ため息
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君の編む言葉はいつもまっしろでうまく受け止めきれない ごめん
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あの部屋のカレンダーは7月のままで明日を待ちわびている
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深海を歩いたような気がしてる 昨日のような、前世かもな
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網戸越しに見える洗濯物と風 物言いたげに夕日が沈む
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薬にも毒にもならないものたちを手放すこともできずに過ごす
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つねよりもすみわたりたる空の青ひとのいとなみ絶えしこのごろ
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根無草。来世はこれになりましょう 勿忘草の記憶は捨てて
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明治期の維新三傑の一蔵どん 「日本を守る」と外征をせず
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‪しあわせは歩いてこないなら走れ青いジャージは君とお揃い‬
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この仕事向いていないと思いつつ辞めない理由積み上げている
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プリーツのひだを一回折るたびに願う祈りは誰にも言わない
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なんだかんだ看過できんな 感慨がなんか快感 いかんな遺憾
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みをつくしてをつくしても甲斐はなく引き出せたのはごめんの三文字
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今日だけはバレないからと大声で「がんばれ」ついでに叫ぶ君の名
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好きだよとたった四文字言えなくてきみの趣味には詳しくなった
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真夏日の焼けた地面をあつあつと跳ねてゆくのは狐の花嫁
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きみまでは届きやしない恋文も書くことだけは許してほしい
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