晴れた空。そのわりには さむい朝。 水無月はじめ  星 丁字草が咲く庭。
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「おはよう」と 若い大工に 挨拶し 律儀な仕事を うれしく思う
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建売の家はやばやと売れたるか洗濯物のベランダに見え
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眼の前のナースのせいか血圧の二十高きを訝りにけり
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台風の近づく浜に荒波の絶えず寄せきて轟にけり
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しもつけの揺れゐる庭の暮れはじめ吾が晩酌の時となりたり
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「先の戦争は自衛のための戦争」予備校の先生のほうが随分まとも
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イソップを読むワイドショーを真に受ける人々に勧めたい寓話だ
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グラスの中で蝿がもがいている男は取って捨てるとまた飲み始める
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ごちそうさま美味しかったと言えるのは心からなのかはたまたお世辞か
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エレベーター夢中になって見る君を見つめて微笑む私がスマホに
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シャッターを切るたびカシャっと音すれば画面に笑顔の君が映る
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白黒の中にカラーの店看板2列の並び目指すは鴨肉
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すれ違う色々ながら一瞥いちべつしいつまで残るか着物の文化
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ハイカラな生活求めて様々なものの発達明治の世の中
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桜舞う風吹く春の汽車ぽっぽどこまで行こういけるとこまで
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明治の世現代の世の礎のあかり灯るは鉄道唱歌
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ウインクをしてみてみればこうじゃない?君が見せる私と似た顔
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ピアノ型看板の色美しく音楽教室聴こえる音色
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柿の木の幹のカーブがなんとなく月光菩薩葉に隠れつつ
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真夜中にヘッドホンして爆音で流すSOUL'd OUT まどろむ
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言われたい放題の日々だ雪崩には降り積もる雪が前提にある
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ぼくはもう痛みを抱えることはないポイントカードに空きはもうない
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深緑ふかみどり甘苦い液を飲んでみるいつもの私に戻ったみたい
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春夏秋冬しゅんかしゅうとうどの季節にも好きなところひとつはあるよねそういう生き物
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最終日 教室長に別れ惜しむ 保護者の波は絶えることなし
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オシドリの生態は実は年毎としごとに相手を変える何故なにゆえシンボル
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くしゃみする気持ちは未だにわからない春が来たねとくしゃみをしてみる
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眠る君眉ひそめる君寝ぼけ気味どんな君でも今がいちばん
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起きぬ君見つめてみればもやもやと雲隠れする私のこころ
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