「あなそれ」と 呼ばれしドラマ かつて在り 我に来たるは 「親それ」の日々
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他人から義娘むすめになりし我今は義父母の見知らぬ誰かになりぬ
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手袋に 幸せ感ず 冷たさよ 熱を重ねよ 冬を理由に
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冷えたまま食べても旨いパック飯有ったら良いなと折々につけ
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コトコトと小豆を煮ますいろいろな気持ち溶け込むお汁粉となる
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にぎやかなニャンプロレスが一段落 キャットタワーの上下陣取り
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7分半ゆでるといいと教わった 今日は味玉ちがうけど黄身トロリ
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あいのこ合いの子愛のこと、あいのことばで韻を踏む 「愛の人」だと言われた日には
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真夜中に 雪を踏む音 遠ざかり そのあと永く 残るしづけさ
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好きな人を笑わせるのは皆でいい 涙させるの私だけなら
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叶わねど 散らぬ桜を思いては  降り敷く雪も 春と見紛う
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助手席で洋服を着たブルドッグ「おすわり」で待つコインランドリー
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ド貧民 からの逆転 下剋上 切り札はあぁ ダイヤのキング
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君はつい忘れてしまう無条件の愛受け取っていいそういう存在
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ほんとうに綺麗な空と思うのでリボンをかけてプレゼントしたい
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にありて かけてもかなはぬ仲なれば いかに越えなむ逢阪あふさかせき
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壊しても壊れても尚残るから そのままそっと置いとく記憶
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どうしたら良いの全くわからない 黙って作る肉じゃが甘し
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自分なんてと思うときには赤リンゴ 皮ごとがりり噛んで飲み込む
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「珠玉の」とふ帯にかれて求めたる文庫本の小さき文字に難儀す
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ドローンに乗って行きたい夕焼けの 夕日に近い濃い紫へ
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ストレスは毒薬ですよすぐ捨てて 「はい」と答えて仕事を辞める
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霜柱踏みしめた瞬間ときした音を また聞きに行く哀しい日には
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宴会と名の付くものにこのごろは 縁なくなりて無理もなくなる 
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傾いて頭下げてる雪だるま 同じポーズの孫に当たる陽
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鴨川のそばのジャズバー深夜二時 魔女の運んだ薄い水割り
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この命 明日終わっても一片の 悔い無いと思う 空が青くて
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一年は一日よりも短いと実感している大晦日の夜
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好きな人居なくはないがあなたとの比重と歳月飲み込めぬモツ
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此処に居ぬ 君から届く紙切れが 今まで気付かぬ 四季を教えて
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