落としものさがしてあちらこちらへと後ろへ向かふ時間の小路
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さみしくて電話をしたの君にだけ でないでいいよ気にして欲しい
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野分吹き窓はかたかた音がする あなたの部屋へ逃げていきたい
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みづ玉は円く長くと変はりゆくかたちの消ゆる時間のかたち
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かたち無き存在ゆゑに時をもちゆるやかにみづは追いこみて来る
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みづ玉はぱぴぷぺぽつと落ちてゆくはるかかなたのうたかたおもひ
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iPhoneのレンズが緻密でも星空はずっと写らなくていい
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機関車はト音記号か有蓋車無蓋車たちの刻む音楽
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道すがら銀の言の葉さがしては一夜一花の月見草まつ
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台風の雲の切れ間の陽の光 肌を通じて泡立つようだ
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永遠に片想いとはわかっても溢れる想いそれこそが恋
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そのみちは白道といふ西行もはるか眺めし月のゆく道
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こりゃどうも噛み合わないなこの会話募る苛立ち放つ「もういい」
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裏庭の儚きものは銀いろのあさ露くもの巣なめくじの路
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ひそびそとささやき灯る裏庭にひとり語りの西風立ちぬ
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木にひとつ林檎の赤の鎮座して西風の呪文ききてゐるらし
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夏の夜の月に音色はこだましてラフマニノフの鐘は響きぬ
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幼子の生に照らされ目の端に 映る死の影見ないふりした
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文字を追う目にはたしかにあの頃の 筆跡映る他人のような
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採点はほたるのひかりとともにある丸をするたびチカチカひかる
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儚いな人間死ぬときぽっくりと酒を飲んだのでそんなことを
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眠れないスッキリしないそれでいて何か求めて得られはせずに
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白亜から一見舗装されているぐらぐらの路 手の甲でさわる
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その腕の濃い紫の血管を親指で這い生血いきちを感ず
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雨さへも美しくある休日は銀の音色に本をひらかむ
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各停を降りると耳に蝉の声、果物屋には瑞々しい桃
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ソーダ水 向こうに陰る 琥珀の目 会えない間数えた月日
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鳳仙花指ではじける性さへもまだ知らぬらし夏の青き実
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にんげんの数だけこみゅにけいしょんのやりかたがあり困惑がある
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家家はそれぞれのの灯をともす黄色のまどにオレンジのまどに
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