寒空に和毛を曝す幼獣の震え止まねば詩書を火に焚べ
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向かい合う窓の反射で空を見る こんな人生 こんな人生
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バス待ちて皆いちやうにこうべ垂れすまほ覚えた海馬のやうかな
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古着屋のコートに残るハンケチの折り目正しきアイロン寂し
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猫専用 防災お役立ちセット チェックしてしまう 高いんだろな
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あらいやだ トマトショックは ショックかも つい昨日まで安売りなのに(ミニトマトは別?)
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昔ながらの金物おたま先が取れ三十余年の付き合い惜しむ
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今もって哥の良し悪しわからねど通ずる思いに迷わずプッシュ
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レイトショー まだ間に合うと 猛ダッシュ 仕事終わりの たまのご褒美
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気にすまい 凄い人ほどどこか変 ヘンなところが個性なのかな
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パスタ屋でランチのホールを たった一人 まわすお姉さん ちょっとカッコ良し
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今日もまた前科百犯繰り返す 気付くと味噌汁沸騰している
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初冬では袖折り着せたベビー服 春待つうちに丁度になりぬ
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時折の晴れ間に明るむ冬枯れの遊歩道ほどうに すくと水仙気高く
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きっとそう『ああそうだね』と去る人には 私からは言えないさよなら
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死ぬほどのことじゃないよと君は言い だったら何が死ぬほどのこと?
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押しボタン押せば渡れる信号も人の心も時々はある
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すみません 言うこと理解できません AIにまで言われたる今日 
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装われた みそ汁いっぱいの お麩すらも 愛おしいのは 独りだからか
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Depression…魂が腫れているのでお薬出しときますね
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ガタゴトン 音心地よく 夢の中 ゆらゆらぬくり ゆであずきかな
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ふんわりでちょっと低めなあの椅子は「よっこらしょっと」言わねば立てぬ
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押し引きのくたびれ儲け役員会 引き下がりてのち短歌にあそぶ
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自らの 使命を知りて 殉ずれば 主の前に立ち 恥じることなし
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弱さ故 休みたいのは わかるけど 我が人生は いまだ終わらず
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自らを 鍛えて磨く 修験道 のんびり暮らす 命暇なし
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自らの 使命を知らず 怠ければ 未来永劫 後悔立たず
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雑草も 引き抜かぬまま ほっとけば 心の中の 思いは腐る
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うっかりと 心の中の 空白に 芽生えた草を 伸ばし放題
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考えた 文豪たちの 結末が 余りに酷い 絶望の淵
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