めでたしで終わる童話の本を閉じ再び開く、いまだめでたし
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痩せ細る貘がぼくを見つめててごめん悪夢は見ないし寝ない
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鳥になることが出来ぬと知った日に肩甲骨がぽきりと鳴った
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雨の夜ひとりもどったこの部屋の明かりをつけて灯火になる
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こんな親こんな夫婦になるものかあなたの背中が教えてくれた
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都合良く記憶書き換え無きことに不幸は自分で選んだあなた
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幸せに比べ不幸はバラエティ豊かというがわりとベタじゃない?
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巨大なるクマバチまん羽音はおとして窓うなるただただ恐ろしく
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暴力よ「非」が付いてくれ 日常の「非」よ消えてくれ そう祈る日々
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蝶と秋はかなきかたち舞ひてゐる硝子のなかのf植物園
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もんしろ蝶あげは蝶ふと指の先わの字とれの字われの字とまる
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この宙によせてはかへし不可思議なるあかるき蝶の日だまりつづく
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キッチンで 味噌汁作ると 思い出す 味噌は煮立てちゃ ダメという声
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どこみても 黒い顔して 項垂れる 電車の中に 枯れた向日葵
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だとすればこの茶葉ゆらすものは何?生死の海に浮かぶ小舟も
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休みの朝暇過ぎスマホいじっては筋トレをして部屋を見渡す
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天災は果たして神の声なのかそれとも地がうめいてる声か
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淡く匂う会わずの時を吾はあわみ泡と消えれば哀れ 身の錆
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身の内を三十一文字みそひともじに暴かれてその記憶が口をこぼれる
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負の連鎖断ち切り私の人生を娘やめます薄情ですか
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泣きっ面ハチではなくてクギ刺さるココロとタイヤ一緒にパンク
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八つ当たりしたい相手にすかされてヤケで作ったおかずが美味い
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悪を討ち己の正義振りかざしぼくらは偉大なホモ・サピエンス
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スマートフォン なんでも教えてくれるけど あの裏道は きっと知らない
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日が昇り 街は輪郭 取り戻す 夢から覚めて 朝がはじまる
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停電でスマホ見れない自由あり 呑気かもだがそう思うしか
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朝なれど加密列カミツレ茶いれ考ふるあるかなきかのあしたのことを
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母親の吾子を呼ぶ声こだまする夕暮れ時のカレーの匂い
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春を抱きいざよふゆゑの光りかたしてゐる秋のおほらかなる日
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鞦韆ぶらんこを漕げばおとぎの国のあを切り絵の翳の木洩れ日に透く
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