夕暮れて街の灯うつす田のうへに蝙蝠飛びてしばし行き交ふ
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扇風機は夏の暑さに疲れ果たのかスイッチを押しても動かない
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昨年末 5回目ワクチン打った翌日に 旦那がコロナで 我その2日後>以降打ててない
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宇宙船キャットタワーは 早朝あさ人気 写真はどれもピンぼけか暗い
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ゴハンやり ベッド辿り着けずうたた寝し ハッと気づいたら ねこと目が合ふ
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わきまえています、わきまえてますから どうか放っておいてください。
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貝殻を 耳にあてがう 代わりかな スマホに耳を 澄ませるぼくら
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垂直に昴はのぼり筋雲は水平線を過ぎ越してゆく
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ワクチンを接種する前この時期に喉が怪しくなるって酷いよ
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涼やかな風感じつつ 川沿いを行けば 薄暮の烏城うじょう凛々しく
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久しぶり 写真におさまる我を見て これは誰だとマジで驚く
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助手席の窓 緑濃き山々と 息子との会話を愛しむ
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タオル越し温さ伝わる手のひらに こんなとこにも素質はあるんだ
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出遅れて 法師蝉鳴く 奥の院 秋急ぎ来る 朝護孫子寺ちょうごそんしじ
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親族の誰とも違う政治的立場をささやかな自負として
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なにびとも 知らない私の 可能性 履歴書に書き 商品になる
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臼と杵忘れたうさぎは飛び込む満月の夜炎の中へ
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彼岸花 肥沃の大地 一面に 我が血の赤と我が骨の白
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俯いて「人を信じたい」と言う君の 言葉を愛す宗教に入る
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頼むから誰か殺してくれないか (どこかでホトトギスが鳴いてる)
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きみはたぶん序盤のつよい中ボスで我が人生の裏ボスじゃない
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残り日が何日だろうと君愛す欠点も全て愛しく思えて
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君に告ぐ今日ばかりは僕の持つ悪い予感が当たったみたいだ
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もう疾うに大人になったくせにまた十七歳の瞳で責める
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頼むから誰か殺してくれないか (ナイフはなにも答えてくれない)
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食前酒 食中酒あと 食後のしゅ 飲んでばかりと 我が子諌める
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楽しくて ああ気持ち良き 最高の 現実逃避 ストロングゼロ
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苦痛に耐えられぬ時 飲むがいい とトキが言う よきストロングゼロ
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雨垂れに銀盤光れど、隠るらし おおつちなべて錫色と見ゆ
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栗色の眼に小雨の香りして つと地を見れば爪はそら色
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