水温む昼の陽気についつられマフラーなしの襟引き結ぶ夜
6
ペン休め 空の余白に語らせる 無口な冬に愛の育み  
6
目の前のお菓子遠ざけ本を寄せ より良き時間を己に贈る
13
アフリカを出で旧人類らとも雑じり合ひ{まほろば}に生みし縄文文化
3
朝早く 豆腐売りの 笛聞こえ 道に飛び出す 主婦と野良猫
12
二千歩の散歩のお供・ワンカップ 酔いどれの君と 五度目の花見
5
我が人生、ここまで上手くこと運ぶ、ことがあるかと疑い深め
5
消えてしまいたい夜は 君と眠る夜まで 耐えようと目を閉じる
4
一目惚れした表現を取り入れて詠ってみてもハリボテの音
5
カーテンも開けっぱ 暖房消えたまま リビング寝落ちの旦那よ、子供か?(しかも半袖)
7
台所の 床に転がりみる夢は ディストピアでも輝いてみえ
6
憂鬱のイメージカラーは鈍色で 紫ならばメランコリック
4
愛情とは 時間とともに 少しずつ 消耗していく ものであろうか
10
後ろめたい 事など無いと 言える人は そんなに多く いないのかもね
13
転がったイヤホンの軌道操って黒スニーカーのつま先へ行け
2
動かされ振り回されて考えたこんな事に明日は来ない
4
十時過ぎライン1件娘からスタンプひとつハッピーバースデー
19
手の届かないものばかり欲しくなる 手が届くのは偽物ばかり
8
嫌な日はビールで流し酒で酔い少し眠って朝酒で断つ
4
くだらない支配の家に頓挫して勝負するかい私は負けない
3
月初めハビットトラッカーチェック表は真っ新に月末サボりなんて無かった
4
早すぎも遅すぎも駄目 アセトアルデヒドただ酔う頃合いがイイ
4
ついたちか 野菜ジュースが半額で 過ぎしひと月 気づくスーパー
9
「おかあさん」やさしい響きのその呼び名 二人呼べるはしあわせなこと>母チョコカードを書きながら
8
どの街も君が歩けば麗らかに七彩香る。一月の暮れ
4
ここにいた!水槽見つめ笑い合う。サンショウウオが留める時間。
6
降る雪に雪かきをする誓約をしてから食べるレディーボーデン
12
黒煙が立ち上ったら軽くなる 欠片の骨を胸に、祈った
2
如月のはじまりは雪 流氷は行きつ戻りつ風のきまぐれ
17
うつ伏して自分の鼓動を聴いているその時だけは生を感じる
9