十二時を過ぎてもかぼちゃは馬車のまま 延滞料金取られるかしら
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あなたとの終わりが嫌でそれだから始めないのもまた愛なのです
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「暑い日が続きますね」がまるでもう呪文のように飛び交うこの地
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何度でも往復すればいい何を欲しかったのかしたかったのか
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どこまでも地の果てまでもいつまでも牧草えぬ別海の絵を
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白き風わたりしことを知らぬまま木蔭に白きあぢさゐ揺るる
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心うちに重きもの抱きあを空を見上ぐればもう沈みゆく海
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西風に終はりよければ全てよしシエイクスピアの語りわたりぬ
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はじまっていないものから終わる夏 夜明けに夜明けの稚魚を探そう
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自己表現 誰がための歌? 僕の歌 なのにあなたは なぜなくの?もう。
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草臥れたかに見えた鳩が突如飛び立ちより深くなる森林
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記憶とは壊れてからが本当で七日で世界だって創れる
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ごめんなさい 病めるときには愛せない 元気になったら焼肉食べよ
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盆出勤ゴーストタウントウキョウを窓から見下ろしカロリーメイトディストピアメシ食う
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禁煙の空間探す少数派 和人わじんで男の僕も今は
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瞬きにひらめいた火は降る星か ただ街灯を掠めゆく蛾か
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みんながおやすみしてるときは、つかれたからだがじめんにおちてるよ
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ライターと緑の自尊感情が保安検査で没収された
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本当は一番優しい友人が一番冷たい人かもしれない
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嘘つきが悪いこととは思わない何かを守ると暴露してるの
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好きだから、などと宣う奴輩は閉店間際に割り引かれてよい
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アパートの窓つたう雨川になる僕らも雨に習い川の字
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進みゆく在りかた常に同じくも時は人にて捻じ曲げらるる
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男性を愛するあなたその眼にはわたしがどんな色に映るの?
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敗戦忌高校球児に伝えたく午後零時にはサイレンの鳴る
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我思うそう思うのもまた我か自己言及の無限増殖
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愛してた 糸は行き先 わかっちゃった だから自分の体ちょんぎった
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満月はなるべく見ないほうがいいあなたの眠りさまたげるから
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古い血を抜いた肢体を横たえて仮死状態で明日の陽を待つ
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主語および目的語さえ用いずに自他の別をも融かす民族
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