ひとつずつ 無くなる未練 軽い胸 指折り数え 残るは二つ
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よくとれた写真もぶれちゃった写真も何より大切なものになったよ
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旅終わり普段ハグなどしない君が駅で抱きしめてくる切なさ
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東京に着いた機内で君の手を握って君も握り返して
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搭乗のゲートの近くで食べるすし 君の笑顔が眩しすぎるよ
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札幌と思えぬほどの陽射ひざしうけ手をかざしつつ二人で自撮り
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まだすこしチェックアウトにがあって ティックトックで笑いころげる
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朝ごはん食べるホテルのレストラン 君に差す陽が美しすぎて
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「明るいよ」照れる貴女あなたと交わって 朝陽あさひのなかに別れを感じて
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ブラインド閉めずに寝ちゃったからこその普段見せてはくれない寝顔
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手をつなぐ 俺の贈ったアーカーのピンキーリングが触れて嬉しい
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もがいても 代えのきかない特別に なれないのかな わたし『なにもの』
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よく似てる あなたとわたし 微笑んで細めた目元 写真のふたり
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ドタバタと深夜よる騒ぐのは母さんと猫1と2とあとあれは何?
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浴室の排水口に逃げてゆく泡美しく左巻きかな
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文化祭君も呼ぼうとDMに打ちっぱなしの「この日空いてる?」
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自分の首を23.4度傾けてみた、これが真っ直ぐ
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「それなんかルネ・マグリットみたいだね」 クラスメイトの辻さんが言う
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夏ひとつ 雨間に抜けるそよ風と青い味したジンジャー・エール
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夏の夕方の空気を吸い込むとこれから祭りにでかける気がして
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帰り道セミファイナルが嫌だねと笑う友あり 今年早いね
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インスタのストーリーあげる意味わかる?君にわたしを教えたいから
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感情を濾過した結果が涙だよ大人の涙は泣かずとも出る
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はかなさは袖にかくしてひと殷賑り鞠のゆかたの線香花火
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僕はもうここには踏みとどまれないよ流れ着く先で生きてるといいね
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諦めることにばっかり慣れてゆく傷から流れる血が川となる
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黄昏と共に結んだ靴紐を 愛おしそうに見つめていたね
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まっくらな砂浜をゆく(ざくざくと) たとえどこにもゴールがなくとも
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あどけなく 母を見上げて 輝けり わが猫の瞳が一番星だ
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ひらめきし 歌を何度も 推敲す 咀嚼反芻そしゃくはんすう 繰り返すごと
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