褒められたし わけでもなかろと 慰めし おれと酒精と 大寒の夜半
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齒でこそぎ、甘皮捲り鉄の味。 舌で舐め取る、痛みとともに。
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眠らなきゃ 明日が苦しい 眠れない 魘され苦しい 気が狂いそう
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長机 震える母の 手の横で 願書と共に 将来見ゆる
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この体 真に自分のものなのか問おう自分と思える日まで
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真っ暗は 安らげるので 灯り消し けど魘されて 怖い寝しなは
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ひさかたの ひかりのどかに 名古屋まで 静岡浜松 豊橋名古屋
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冬の都の 六畳アパートの 壁をうすみ わがコロッケパン すぐに食べつつ  
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炬燵を思い 布団に縮む
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ときどきは傷口キスするように痛み分け合うわたしのわたし
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解けない 結び目にした、靴紐の  緩ませ方を、知らないままに
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土曜日の9時に止まった電車にも、呪いはするが、もう、散っている
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空腹を埋めてくれない珈琲で流し込むのだ、明日の残業
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「ぼくにしか できない歌が あるはずだ」 必死でキーを 叩いてる猿
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行ってみたい。呪いのような定期区間  知らない駅とか向こう側とか
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「餅食べて!」 今年が新たな気分で 始まる気がするよ
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夕食の、メニューを決める午後三時  牡蠣フライとなり、ご機嫌の父。
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おおあくびしたっていう形跡がしっかりのこるマスクの上部に。
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どこまでも 凍てつく君のなかにある 真冬とともに ただ生きてゆけ
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お手ふきを使いながらのご機嫌を取り戻していくサ店で礼儀
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飛び交ひし 空疎な飛語に ガブリエルの如く 超現実ハイパー・リアルと 嘯いてみたし
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通り道 凍った坂で、膝笑う  私も笑う、間違えた靴
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乱高下 22歳のかける恋 酸いも甘いも重なってパフェ
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尾灯追う深夜の府道 気は沈む 前の車も仕事帰りか
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よく染みる三十九度の浴槽に森の香りと全身浸かる
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アルバムに仕舞ったきみの横顔はこっちを見ない だから好きです
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色のない世界にだって此処よりは感情というものが在るだろう
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ぼやけてく世界を見たくない僕は眼鏡を捨ててぱりんと踏んだ
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冷えきったつま先みたい、君の唇から零れ落ちてく言葉
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靴を脱ぐ叫ぶ走り出す 人々とアスファルトの優しい冷たさ
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