そんなこと言わなくていいよそんなこと思わせるこの星が悪いよ
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あのころの住所もらってそのままに文もなき友 お元気ですか
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ベランダにひっくり返ったままの蝉 君は五年もここにいるよね
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散りおわり身軽になった紫陽花が肩の荷下ろせよ ぼくにささやく
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ドーンドーン ビール片手の蚊を払い ちどりあし踏む東四の坂
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女書を知る 虐げられし 女性達 心の叫び 日の目を見るか
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あの人に貸した教科書わたしすら見たことのない部屋にいるのか
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懸命に 話してみたけど 食い違い 腹の立つこと 情けなきかな
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ヒルクライム山登り 壁に出逢えて 苦笑い 気持ちいいのは 天が近いか
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「ごめんね」と涙なんかいらないよ 孫いなくても長男夫婦きみ幸せなら
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ひたすらに ただひたすらに 登りたい 己おのが限界  そのまた先へ
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暮れ切る前 一瞬の薄いブルーに 宵の明星 明日も良い日で
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秋田には しりあい猫の ふるさとで なきごえないが かわりはないか
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朝にだけ見る自転車のあなたにはわたしの姿見えていますか
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弾けもせぬギター抱えて椅子につき自室にひとり 聴いてください
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砂浜を初めて歩いた日のような決断をして君は出てゆく
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うつくしく 生きるあなたの足跡は とてもじゃないが形容できない
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縁あらば また逢えむとす 潔さ 時は戻せず 先を見るのみ
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賛美歌を リビングで歌い ねこ集う まぁそれはそれで わたしの礼拝
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何にでも専門家っているんだね知らないことがたくさんあるね
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暮れ方に李商隠を模して丘に佇ち 同じ黄昏に今気づいた
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スクロールすると飛び出るツーショットマスクはずして勇気をだして
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きみがいてぼくがいるまちこれからもきっともっとねたのしくなるよ
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パノラマの写真のような風景だ 入道雲が永遠とわつらなる
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令和から昭和時代に戻ったか 朝から聞こえる「たけやーさおだけー」
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滑稽ね 深読みしすぎ 悶々と 本心なんて 暴くのは野暮
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娘にと 必死に探す 保険とニーサ 妻の祈りは 確かなるかな
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借り受けた身体と私は手をとって苦の満ち渡る人間じんかん
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みずからのさかひを言はぬ草葉らに いかに心をいさめらるらむ
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信楽の逞しき土に 月夜の蒼を模した 小皿を二枚
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