ほんのすこしちいさな笑みを見せられる 頭痛がゆるむ寝しなであれば
0
山育ち、海を見るたび帰りたい。海から離れて、ここじゃないとこ。
1
消してから後悔してる、何もない 私の手元 ならないスマホ
1
珈琲を片手に 無限退却す へや常世とこよの 雪は降りをり
0
私のこと何も知らない君の声が私の名前を読んでた
0
たのしみは先祖がえりを夢にみて犬の眠りを眠るひととき
3
風が吹き 僕から逃げた あの雲は 君の街まで 届きましたか?
3
かかるのよ ガラスの靴が なかろうと 十二時過ぎても 解けない魔法
4
空よりも宇宙よりも高くからあなためがけて堕ちていきたい
1
Saint Paul will shine 今宵西口東武前バ終わのきみがスマホをしまい
3
溶けていく白が眩しくて目をそらす さよならなんて嫌だと泣いた
3
「この本を読み終えたのだ」と君は言う 私はまた曖昧に笑う
1
粉雪をスクロールして歩き出す来ぬ人待った寂しさつもる
11
食む指に、噛める爪なくシリシリと  確かめるように滲みるのを待つ
3
柑橘の夜をわたれば裏返しころがる箸にころがる柔和
1
暇潰し 噛む爪も無く、指を食む。 歯応えもなく、滲みる指先。
2
水色の君の抜け殻間違えて洗濯しちゃった もういないのに
2
書物のような顔をして、日向夏、お前も爆発してはくれぬか
3
もう恨んでないと言えば嘘になる 湖畔で一人あひると暮らす
2
届かない星に焦がれた罰として 腕を焼かれた ミロのヴィーナス
1
弾け出す ヘッドライトと 人の声 優しく染まる 冬の夕空
3
掲    食い込む肩革 にらむ君の1
1
降ろすもんかと
1
うみねこの翼青には程遠く我は海にはなれぬと知った
2
身の丈に合わぬ願いの罰として 影を裂かれた文学少女
1
冷たい雨降る日 兄が連れていってくれたタイヤキ屋 二人でペロリと食べちゃった 
1
違うこと 望んで選んだ はずだった ああこんなにも 寂しいなんて
1
ねぇ鏡´ 一番美しいのは誰? ||誰より貴方が わかっているはず
1
褒められたし わけでもなかろと 慰めし おれと酒精と 大寒の夜半
0
齒でこそぎ、甘皮捲り鉄の味。 舌で舐め取る、痛みとともに。
5