夕食後二階にゆくと言うところ帰ると言ってひと騒動に
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一人きり心細い日 背に貼ったカイロの優しい温もり沁みる
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神様がいるんだって 人の形をしているし 血も赤色だよ
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居酒屋のスピードメニューの気分 ダラダラ最後まで居残り中
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ぎゅっとして抱き締めてハグして抱擁して抱いて助けてほしいや
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露あがり陽に睨まれたアスファルト 放課後の帰路想うガソスタ
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掌重ねて歩む老夫婦 歳経るごとに深まる想い
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スカイブルー どうやら私に似合うらしい 浮かれて春の服着て出社
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鍋の具が詰まった袋を持つ右手 小さき花を包む左手
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にゃーと呼ぶ ハミガキしている母を呼ぶ おかあちゃんどこー、はやく寝ようよう
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育休を取るかどうかで悩むのは我ばかりなり お前は誰だ
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犬散歩君はどこまで歩くのか 風は強いし鼻水ずびずび
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気がつけば 花 春 ばかり詠みまして ビュービューとなく風 厚着の私 
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「上手だね」「練習してるの?」「頑張って」味方の振りして馬鹿にしやがって
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新しく揃いの携帯色ちがい並んで座る老の脳トレ
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世の中の様々なこと知らずとも人は生きられるベッドの上で
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明日からは下界くらしに戻る吾一期一会の四階の空
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干潮に君は夢中で君探し満ちるのをそっと待ってたんだね
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できあがるヒエラルキーのピラミッド、観光みたいに下から見上げる
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「お爺ちゃん、歌集は先月出したでしょ」「そんなの嘘だ!あの金どうした」
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贈るのも、異国の情緒 愛国心 君のために言い訳にする
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よく夢にみるふるさとの道をまた歩いた日それもまた夢かと
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おおらかに 君は僕に触れ あたためる そのぬくもりに僕は慣れない
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推し漫画 差し出しなぜか他人にも突然生える〆切 ごめん
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いつまでも胸の内にはめいっぱい駆け回るきみ撫でられるきみ
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色のない 潮騒をゆく 浜千鳥 岸に寄せるは 捨てられた夢
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北風のまっすぐな朝 襟立てる老軀に ゆらぐ春の陽の差す
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まどろみに ゆらり目を閉じ 身を任せ 春うららかな 優しい日ざし
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ゆるやかに流れる雲と笑う君 この世に二人 されどまた夢
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甘いもの 補給したとて 追いつかず ストレスの渦 完全包囲だ
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