甘い恋と 苦い現実 混ざれば カフェオレみたいに 上手くいくはず
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秋空の 優しい青が 君ならば 僕はきっと 彼岸花のあか
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のこりものばかり部屋には増えていき選んだのも選ばないのもおれ
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手ピカジェル 箱ごと紛失 再購入 届いた頃に出てくるパターン
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バスツアー三河一色上うな丼遅れた昼食腹に飛び込む
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会議室へ「失礼します」と大声を残して入る学生ひとり
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祖父の味 私の舌が 覚えてる  珈琲一杯に 砂糖いっぱい
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美味すぎる 日本のお菓子は 美味すぎる だから仕方ない オレは悪くない
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あれも見た これも知ってる それもした 未知の世界よ 君は何処へ
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たまに風呂ゆっくり入ると ねこが呼ぶ おかあちゃんー、どこにいるのーー
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電車内 お喋りマダムに挟まれる 私はSONYのサンパチマイク
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わたしは全部を許さないといけないみたい 聖人になりたいな
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新刊を求めて開くトキメキを静めて一気に読むプロローグ
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花言葉「愛」という花受け取るも私はそれを君に感じず
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幸福になるために生きてはいない(不幸になるためでもないけれど)
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図書館で 短歌の本を 借りてきた ちょっと憧れ 文語体の短歌うた
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恋愛は片思いほど美しい今もそこだけきらめいている
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心を持つ時代は終わった 誰もが望まないストレスに苛まれながら
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お彼岸に お墓参りのはしごして あの世の席取り こっそり頼む
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面白きは 橋の欄干 トンビいて 目線同じで 互いにガン見
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傾きし 椿井市場つばいいちばの 中程に 異世界のごとき 珈琲屋あり
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連れ添いてシルバー夫婦の五十年二本の轍振り返りなば
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その猫も死ぬよ 歌壇にてあらかじめ穂村弘が飼いはじめしも
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太陽に 左半身 焼かれつつ 右肩で眠るあなたを見ている
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灼け付くような暑さでも貴方はすらり立っている(幽霊だもの)
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畑も田も草だらけなり世話人せわびとをなくして宝原野に帰る
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友だちがペットボトルを輪切りして作った腕輪宝物だね
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予期不安厄介やっかいなものに取り憑かれ がんじがらめで未来が見えず
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永遠に今日という日を忘れない 無垢むくな私が愛を知った日
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かけがえのない一瞬を切り取って 短歌うたに残せり ねこ生せいなりや
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