マンゴーは紅茶に浸すパソコンの電波が今日も飛んでいるから
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お気に入りの 歌集の頁の 付箋の箇所の 歌を好んだ 過去の自分
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冬過ぎて卯月につくし土つつき春の足取り描く澪標みおつくし
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今日もまた 本の世界へ 旅に出る 「また来たんだね。いらっしゃい。」
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天使の声に 釣られて楽を選んだら 後に居たのは 悪魔でした
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五月雨を集めて早し最上川 そんなに急いでどこへ行くのか
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「〝黒紙〞に選ばれたって」 「気の毒に」 ……御しやすそうと、思われたのね
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杉の木が消えた春って思うほど幸せじゃない沈黙の朝
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肋骨を籠に見立ててカナリヤを飼って愛の唄を歌うひと
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カレーはね、首傾げたら終わりだよ  短く育てて巣立ちを見てて
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どこまでもここから遠い身体に比喩として手をさしのべている
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思い切り、ちょっと高いアイスを買う。くせでついつい、二人分買う。
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都合など知った事ではないのです 私は振り回す側ですから
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騒々しッ 思う前には連れ出して 今から楽しいことも無いから
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「ねぇちょっと、僕の眼鏡を知っている?」 知るも何もさ、掛けてんじゃない?
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本気だと 古今東西 使われた 言葉も信じる 女ですから
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魔が差して 夜にむさぼる クリームが 生きろと言った、そんな気がした
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僕はもう スライムなので HP 君の笑顔が かいしんのいちげき
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背負せおう推しの旅路をわれ祈るちゃんと神様守りますよう
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降り積もる音と想いに潰されて 化石になってしまいたかった
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渚にて大人になった君と会う いつかの気持ち今なら言える
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悲しみや憎しみのない世界では 人は形を保てなくなる
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僕たちを 壊し続けるためだけに この抽斗ケースから 歌は生まれる
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夕暮れの列車から降り 地に足をつけてようやく歩き始める
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夕焼けを抱きしめました手を広げ駆け寄ってくる子の背中ごと
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こびりつき からみついてる死神を 恋ごときでは削ぎ落とせない
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道端で白いマスクが日向ぼっこ青いお空とそら、睨めっこ
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あしひきの山から眺む在りし日を悪しき日もあり愛しき日もあり
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歩道橋上手かみてあたしがスキップで下手しもて王子が翔け登ってきて
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街はあおももに染まって猫はゆく あ、そっか さっき部屋にいた猫
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