この街の道から少し浮遊したあるいは気化したまるい絶望
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帰宅して充電コード突っ込まれ血が通ってくスマホと私
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近未来釣り銭などは消滅す けれどラーメン永遠にあり
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「何でなの?」 「理由がないと だめかしら」 理屈じゃないのよ 恋も短歌も
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じいちゃんの少しほつれた麦わら帽見え隠れする葡萄棚の奥
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早生みかん薄く滴りほの青く 物足りなさは我と通じて
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失恋は右肺の酸素空にするそれでもチョコと恋 また嚙る
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そうですね、本日は曇りだったので、空も飛べると思ったのです。
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水槽にしずんだままの星ひとつすくい上げたら夜へ急ごう
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実をつけた実家の庭の橘の傷口は赤執着は青
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青と白マーブル柄のスニーカー 少年少女はショパンの「ショ」
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執着を殺した先に何があるこの熱こそが尊きものだ
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秋月におまえの肌の佳く映える さあ蛇のような遊びをしよう
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港町 すてきな焼き菓子 並ぶ店 わたしはきっと 辿り着けぬが
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僕などが 声を枯らして叫んでも きっと傷ひとつつけられぬだろう
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やわらかい猫、人の手に撫でられる日々をその身に知っている猫
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すすきが言う「夜はすぐそこ汽車の音聞こえたらもう滑り込んでゐる」
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ゴミ箱のナイフを拾い撫でる頬 そんなものよね私の感傷
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鳩の鳴くリズムに昔の恋心重ねて微笑む黄色い帽子
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休憩所 空席一つ入れない 私の席じゃないと知ってる
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「君のこと 今日は想わなかったな」と 想っていたよ 君のとりこ
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くしゃくしゃになったおりがみもう元に戻らないけど戻らなくても
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‪LINEでの名前が記号だけの子が何人もいてまた増えていて‬
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汗ばんで可愛くないと思うからかえって発想が北斗七星
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空が澄みキレイな光ふりそそぐキラキラとしたトリガーを引く
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天井の壁の柱の玄関の木目が見てる石になるのを
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どうしてもやる気の出ない昼下がり勝負パンツに履き替えてみる
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飛び降りるわけじゃないのだ大空に羽ばたきたくて 羽が欲しくて
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みんなには含まれてないこともある透明になるまで灰汁を取る
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すこしだけ遠くへ行ってみたかった裏切るつもりなんてなかった
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