三拍子の歌の不安定性が心を多分に震わせる秋
0
ガラス越しの街の静けさの対比とし空中庭園の騒がしさ
0
全てが水溶性なら この世界海に沈めて海と太陽
1
前向きに 考えられぬ 日はそっと 心の汗を かかせてあげて
0
ホームレスみたいに冬をうたいたい月と誇りと自由の心で
2
こおろぎのオレが籠から水槽に籠をしずめる俺を見ている
2
人生を頑張りたくないことに気付いてしまい困っている
2
ああ　それでも母親かと言われるようなことをしており満足している
2
彼の瞳（め）とおんなじ色はありますか 静かに並ぶ石は寝ている
2
雨が過ぎ花を落とした金木犀　地面にそそいだ金の星屑
1
野分去りしじまの中に目は覚めるあなたは未だ眠りの中に
1
月光を浴びると溶けて海になるそんな寂しさならばもらうよ
11
こんな日は 手を洗うしかしようがない 古びたタオルも乾きやしない
1
教科書の三割ほどもやらぬ師がまいとし李徴（トラ）を世間にはなつ
7
冷たさが私の肌を切り裂いた　まっさらな部屋明かりはつかぬ
2
酩酊のあなたそれでもはっきりと私を呼ぶねこのひとでなし
3
あらし過ぎ灰色雲が青空に犬の尻尾がリズムを刻む
1
みずうみの深さは誰にも明かさない沈めた石の色も見せない
8
好きなのに 嫌いになろうと してる俺 その倍辛く 苦しい心
0
体操着 胸の膨らみ 恥ずかしく 友に隠れて 教室を出る
0
一房の葡萄の中に青い池　味わう君の横顔は秋
5
真夜中のケンタッキーは靄（もや）の中　ホムンクルスがハンマー投げする
1
「今いくつ？結婚してるの？お子さんは？」　……時代遅れの蠅がうるさい
2
ただいまよりチーズケーキを作ります誰のためでもなく焼くのです
1
透明な繭に包まれ座ってた伊東が退めて空いたロッカー
9
ランダムに選んだ文字を並べます あなたの場合それは｢こい｣です
0
メントール甘味と刺激拡がって澱んだ言葉スカッと消去
0
全方位僕らを包むオレンジはいつかやってくるさよならの色
8
雨風に濡れ落ちてなお金木犀。香り伝うは｢我ここに有り｣
2
｢この星の郵便番号知ってます？｣｢愛しか届きませんが、それでも？｣
0